住まいの雑学
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2013年7月25日 (木)

金沢発! 町家の最期を見送る「おくりいえ」プロジェクトとは?

町家の最期を見送る「おくりいえ」と呼ばれるプロジェクト(写真提供:つなぎ隊)
写真:つなぎ隊

北陸最大の都市・金沢は、歴史、伝統、文化が息づく町家がたくさんある。だが、その一方で年間約270件の町家が取り壊され、姿を消しているという。

そんな町家の最期を見送る「おくりいえ」というプロジェクトに密かな人気が集まっている。この〝おくる〟という言葉には、取り壊される家の最期を〝送る〟という意味が込められている。

「はじまりは2009年。建築家仲間の隣家が取り壊されるということで『最期に何かしたい!』と思い、仲間10人ほどで家に毛糸を張り巡らせて最期を看取ることにしました。その際、行き交う人から『もったいない…』とか『おもしろいことをやってるねー』という声が上がり、さらには取材まで来たんです。誰にも気づかれずに消えていったであろう町家を通して大きな声が上がる。そのことに気づき、プロジェクトとして続けていくことにしました」

そう話すのは、建築家の山田のりこさん。おくりいえプロジェクトを開催する建築家有志のチーム「つなぎ隊」のメンバーだ。

では、どのようなかたちで家を〝おくる〟のだろうか?

「定番は、雑巾を持参してピカピカになるまでお掃除。その後、家のなかに気に入ったものがあれば持ち帰るというスタイルです。そのほかにも、その家に合ったカタチのおくり方をしています。参加される方は、子どもからお年寄りまでさまざま、ご家族での参加も多いですね」

これまでに19回開催し、毎回の参加人数は平均で50〜100人程度。これまでに約4000人が参加したという。また、他イベントとのコラボでは1回で1000人を超えたこともあったとか。

「縁があった家を一つひとつ大切におくり続け、日本のスタンダードになっていったら素敵だと思っています」

山田さんは豊富をそう語ってくれた。最近では、新たな住まい手が見つかり、〝贈る〟ということも多くなっているという。こうした活動が全国に広がると、さらに大きなイベントへと発展するかもしれない。

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