破壊屋ブログ

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映画『渇き。』と原作『果てしなき渇き』の違い

原作モノ映画を観たあとにネット上で「映画と原作の違い」を読むのが好きだ。原作読んでないくせに作品への理解が深まった気がするからね。

公式サイトのTOP
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でも『渇き。』原作の『果てしなき渇き』は何度も読み返すほど好きな小説なので、ここは俺が「映画と原作の違い」を説明文を書くことにしよう。

以下、ネタバレは無いけど、未見の人は読まないほうがいいかも。

変更点1:原作と違ってない!

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『果てしなき渇き』が映像化不可能と言われた理由は単に「原作がヤバすぎて実写化してもR-18は避けられない」ということだ。ところが『渇き。』はこの難題に果敢にチャレンジ。俺が「絶対に削除される!」と考えていた主人公の○○○や、中学生が○○○しちゃうところがあますことなく映像化されていた。よくR-15で済んだね………映倫に別の映画渡したのでは?と疑いたくなる。

変更点2:パーティーがアイドルソング祭りになった!


中学生である「ボク」がパーティーに行って地獄へ踏み出すシーンはもっとも特徴的な変更点だ。

原作のパーティーはウーハー積んだ車が集まってHIP-HOPを流すという俺の脳内だとこんな感じの不良のパーティーだ↓

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(この画像は『ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT』)

ところが映画版では、ここででんぱ組の『でんでんぱっしょん』がガンガン流れる。演出も発狂したかのような編集で中島哲也テイストがさく裂している。まるで色彩の暴力だ。この映画のどんな暴力シーンよりも原色の色とアイドルソングのほうが暴力的に見えてくる。ヘヴィメタルやギャングスタラップとかじゃなくてアイドルソングが「もっとも破壊的な音楽」として使われている辺りが時代の変遷を感じる。

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ちなみにパーティーシーンの画像はLINEのスタンプとしてダウンロードできるみたい。
http://kawaki.gaga.ne.jp/download.html

変更点3:家族想いの刑事がマイホームパパになっている

後半の重要人物であるオダギリジョー演じる刑事。原作では家族を助けるために組合から借金している男だったが、映画版では完璧な生活を送っているマイホームパパになった。主人公の藤島は家庭崩壊してゴミだらけのアパートで暮らしているので、主人公との対比が際立つようになっている。

変更点4:ファミレスのシーンがハイテンションになった

主人公の藤島がファミレスで加奈子の中学生時代の同級生と会い、加奈子について尋ねるシーンがある。加奈子と不良グループの繋がりが見えてくる序盤の重要シーンだ。原作だと藤島と同級生とのやり取りがダウナーな感じだった。

ところが映画版ではこのシーンが超アッパーに。ファミレスで大はしゃぎする若者たちの会話から伏線が断片的に見えてくる手法はお見事。でもタジタジになる加奈子の両親の姿を見ていると画面に写っている若者たち全員をぶん殴りたくなってくる。

変更点5:野球部の退部理由が変更された

原作では「ボク」が野球部を退部する経緯が異様にリアルだったけど、映画版では「ボク」が野球部を辞める理由が変更されている。

そのため原作にあった「ボク」といじめっ子の奇妙な絆は薄まった。原作だといじめっ子との関係がちょっと男たちの挽歌チックなのが魅力的だったんだけどね。その代わり「ボク」が持つ加奈子への憧れがより強固になっている。



全体的な改変で特徴的なのは暴力シーンを笑えるように撮っているところだ。ネタバレにならない範囲で説明すると、原作では読むだけで怖い「元妻が主人公の暴力から逃げたあとに主人公が義父と会話する」シーンも映画版だとゲラゲラ笑えるシーンになっている。



映画版では原作に無かった要素が追加されているので、それも解説する。

追加点1:クリスマスの要素が追加された

原作ではうだるような夏のムシ暑さの描写が特徴的だけど、映画版ではオープニングがクリスマスになっている。家族や恋人を大切にし、人々が浮かれた気分で過ごすのがクリスマス。そして主人公の藤島はそれが出来ない男なのだ。

追加点2:コンビニ強盗殺人事件をハッキリと映像化した

この物語の出発点となるコンビニ強盗殺人事件。原作では警備員の主人公が最初にコンビニに駆け付けて死体を見つけるだけ。でも映画版では強盗殺人を映像化し、彼らがどうやって殺されていくのかがハッキリとわかる。

追加点3:中学生の葬儀シーンが追加された

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原作ではまったく無かったこのシーンは予告編で見れる。加奈子が死体にキスをして参列者たちがどよめく衝撃的なシーンだ。



ここでは書かなかったけど、後半になればなるほど原作との違いはどんどん増えてくる。原作ファンも楽しみにしていてください。