日本家屋にはなぜ木造が多いのか?

公開日:2013年10月25日

日本の伝統的な家屋に多い、木造

日本家屋には木造が多い。もちろん、3階建て以上の建物は鉄筋が多いし、どちらかというとそちらのほうが地震や自然災害に強いというイメージもある。

引き戸、畳、ふすま、土壁……と、絵にかいたような日本家屋。古民家を修繕して住んだり、店舗として利用したりするなど、近年は日本家屋ならではの心地よさが見直されている。

引き戸、畳、ふすま、土壁……と、絵にかいたような日本家屋。古民家を修繕して住んだり、店舗として利用したりするなど、近年は日本家屋ならではの心地よさが見直されている。

なぜ、現代になっても日本の家は木造の家屋が多いのか。一般社団法人日本木造住宅産業協会の近藤潔さんに話をお聞きした。世界的に見ると、石の家や土の家などいろいろあるけれど、日本がその昔から木造建築が中心だった理由って?

「まず、風土・文化・歴史面が強く関係しています。日本には昔から木材が豊富に存在し、使用されていました。文明・文化の進歩とともに寺社仏閣の建立がさかんになり、建築技術も高度に発展。これによって、木造建築は日本の家のスタンダードになったわけです」

もちろん、日本特有の高温多湿な気候も外せない。木造建築は通気性に優れているので、ジメジメした気候をなるべく和らげてくれる暮らしを求めたのかもしれない。

「さらに、木造は設計の自由度があるというのも関係しています。日本の戸建住宅の実に80%以上が木造である点、さらに供給業者のほとんどが木造の業者である点、他の工法に比べ高価ではないという点が挙げられます。あとは今後、農林水産省(林野庁)と国土交通省が推し進めた『公共建築物等木材利用促進関係法令』によって、木造建築物が増えることが期待されています」(近藤さん)

公共建築物等木材利用促進関係法令とは、主に10月1日に施行された「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」を指す。日本は戦後の資源政策として、意図的に人工林を増やした。しかし、木材価格の下落によって林業が衰退し、手入れの行き届かない森林が増加。この状況を打開するため、国が率先して公共建築物に木材を使い、さらに地方公共団体や民間事業者も住宅などの建築物で木材の活用に努めることを法律で定めている。

需要が増えれば、木材の製造業者もどんどん供給できるようになる。この法律には、農林水産大臣の認定を受けた業者には助成金が下りるという項目も含まれており、まさに国を挙げて木材を使った建築に力を入れているのだ。

日本の国土に占める森林の割合は約7割。日本人の暮らしは、もともと木とは切っても切れない関係だった。森林再生プロジェクト推進の影響を考えると、これからも日本家屋のスタンダードは木造であり続けるだろう。

(武蔵香織+ノオト)

<関連リンク>
▼一般社団法人日本木造住宅産業協会
http://www.mokujukyo.or.jp

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