【歯科医師に聞く】「重曹うがい」のデメリットは?口臭予防・虫歯予防になるって本当?
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「重曹うがい」を知ってる?
ネット上で話題になっている「重曹うがい」をご存知だろうか。食後、歯磨きをした後に重曹を溶かした水でうがいをするだけで、虫歯予防効果があるというもの。その真偽について、専門家に聞いてみた。
今回お話を伺ったのは、歯科情報サイト「歯チャンネル88」を運営する歯科医師の田尾耕太郎さんだ。
そもそも重曹うがいとは?
俗に言われる「重曹うがい」とは、粉末の重曹を溶かした水で歯磨きをしたりうがいをしたりすること。重曹水は弱アルカリ性のため、虫歯の原因となる口腔内の酸を中和し、虫歯・口臭予防にもなるという説がある。しかし、その効果を疑う方も多く、さほど世間には広まっていないという印象を受ける。
重曹うがいは口臭予防・虫歯予防に「効くとは言えない」
虫歯予防の効果がフッ素よりも高いという情報がネット上では広まっている。しかし、実際の効果はどのようなものなのだろうか?
「治験データがないということが第一です。例えば、重曹うがい、水うがい、フッ素水うがいのグループを3つ作り、何年間かうがいをして実験をしてみないと効いているかどうかは分からないのです」(田尾さん)
やはり治験データがないと信憑性に欠けるということが伺える。しかし、患者さんのデータを掲載しているサイトもあるようだ。その点についての田尾さんの見解は以下のとおりだ。
「個人的なデータでは不十分ですね。細菌は身を守るために糖質の膜でバリアを張っています。その上から、ただ重曹でうがいをしても細菌まで重曹は届きません。まず効果が見られないでしょう。歯磨き後でも多少……? といった程度ですかね。それに比べてフッ素はデータもあり、重曹に比べて確実に効果があります」(田尾さん)
フッ素の効果はきちんとしたデータがあり、信憑性も高い。結論としては、重曹うがいは虫歯予防や口臭予防に効くと言いきることができないだろう。
重曹うがいはデメリット・危険性がある
海外製の歯磨き粉には、ホワイトニング効果を狙った重曹入りのものもあるようだが、使い過ぎには注意が必要だろう。なぜなら、重曹には炭酸銀(silver carbonate)と呼ばれる成分が入っていて、強い研磨作用を持つためだ。
重曹うがいや歯磨きをした場合、強い研磨作用により歯を傷つけてしまう可能性がある。さらに歯茎(歯肉)への刺激性も気になるところだ。
デメリットのある「重曹うがい」ではなく「フッ素入り歯磨き粉」で虫歯予防!
田尾さんが言うには重曹はフッ素の代用とはならないようだ。さらに、歯磨きでの虫歯予防効果にも条件があった。
「ただ歯磨きをするだけでは、顕著な虫歯の予防効果が証明されていないので、効果については△。フッ素がプラスされて、はじめて◎になります」(田尾さん)
単に歯磨きをするのみでは虫歯予防にならず、フッ素入り歯磨き粉を利用することで虫歯予防に効果的だと言えるとだろう。だからといって歯磨きを怠ると、今度は歯周病を発症する可能性が出てくる。35歳以上では、虫歯より歯周病の方が歯を失う確率が多くなるため、その予防としても歯磨きはやはり必要なのだ。
歯科医師である田尾先生の見解をまとめよう。虫歯や口臭予防効果を求めるならば、確実な効果は立証されておらずデメリットもある重曹うがいよりも、フッ素入り歯磨き粉を使ってきちんと歯磨きをする方が良いということになる。
ちなみにフッ素の主な効果としては、歯の再石灰化を促す、歯自体に耐酸性をもたらすといったものが挙げられる。また、虫歯菌による酸の生成を抑えることもできるのだが、重曹にはこれらの作用はないのだ。
「重曹うがい」はデメリットがあり危険!「歯磨き+フッ素」が虫歯予防の近道
重曹でうがいをしても大きな害はないそうだが、ネットに氾濫するような劇的な効果があるわけではない。また、研磨作用により歯を傷つけてしまう可能性があることや歯茎(歯肉)への刺激も強いことなどのデメリットはやはり気になる。トータルで考えれば、日頃から重曹うがいはは控えた方がいいと言えるだろう。
結局は、基本的な歯磨き+フッ素を怠らないようにすることが虫歯予防への近道のようだ。
文=ミノシマタカコ+ノオト
2021年8月加筆=CHINTAI情報局編集部
<関連リンク>
▼歯チャンネル88
http://www.ha-channel-88.com/
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