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連載今週の住活トピック
やまくみさん正方形
山本 久美子
2012年9月11日 (火)

首都圏新築マンションの管理費が安くなった!その理由は?影響は?

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Photo: iStockphoto / thinkstock

【今週の住活トピック】
「首都圏マンション管理費調査2011年」公表/不動産経済研究所

不動産経済研究所がまとめた2011年の「首都圏マンション管理費調査」によると、1㎡当たりの管理費単価は216.43円で、前年より7.29円下がった。毎月支払う管理費が安くなるのは、新築マンションを購入する人には助かるが、安ければ安いほどよいということなのだろうか?

首都圏新築マンションの管理費は、前年より年間で6164円の負担減

不動産経済研究所の「首都圏マンション管理費調査」は、首都圏で2011年に発売された新築マンションの管理費を階高、戸数規模、エリア別などで比較・分析したもの。1㎡当たりの管理費単価は216.43円で、2010年の223.72円に比べ7.29円下落した。11年の平均専有面積70.46㎡に換算すると、月額514円、年額で6164円安くなっている。

エリア別の1㎡当たりの管理費単価を見ると、都区部が249.82円(前年:263.39円)、都下194.74円(前年:203.79円)、神奈川県195.48円(前年:194.22円)、埼玉県189.55円(前年:188.72円)、千葉県191.89円(前年:193.24円)で、神奈川県と埼玉県は上昇したが、都区部、都下、千葉県は下落している。
階高で見ると、管理費単価が最も高かったのは40階~59階(340.93円)、最も安かったのは10階~19階(199.60円)。規模別で見ると、最も高かったのは1000戸以上(260.01円)、最も安かったのは50戸~99戸(201.84円)だった。

また、分譲価格が高い地区ほど管理費単価の上位を占め、平均価格に比例して管理費単価も上がるなど、価格と管理費は関係性が深いという結果も出ている。

管理費が安くて負担が少ないことはよいことか?

2011年に首都圏で発売された新築マンションの管理費が前年より下がっているのは、いくつか理由があるだろう。まず、マンションを販売する不動産会社の販売戦略が挙げられる。来訪客に資金計画を提示する際、住宅ローン返済額や管理費・修繕積立金などの毎月の支払額を試算するが、毎月の負担は少ないほうが販売しやすいからだ。今のように購入者の所得が増えない状況下では、管理費の影響も大きくなる。

また、管理費自体が抑えられている傾向も挙げられる。景気低迷が続いていることから、NPO法人集合住宅管理組合センターは、今年、管理委託費の目安を10年振りに見直す際に、管理費人件費や排水管清掃などの費用の目安を引き下げたという。

ならば、管理費は安いほどよいということだろうか? もちろん、同じ管理業務内容であれば、管理費は安いほうがよい。しかし、管理費を圧縮するために必要な管理業務を削っているとしたらよろしいことではない。大切なのは、適切な管理業務を適切な費用で管理会社に委託しているかどうかだ。

管理費の目安として調査結果を利用しよう

マンションの管理費や修繕積立金は、マンションの立地や規模、構造などさまざまな要因で違ってくるが、平均額を一つの目安として、検討物件の管理費が妥当かどうか判断するとよいだろう。管理費については、国土交通省が既存のマンションを対象にした「平成20年度マンション総合調査」でも平均額が出されている。
・管理費(月)戸当たり平均額(使用料等からの充当を除く)1万990円
・管理費(月)1㎡当たり平均額(使用料等からの充当を除く)162円

これからマンションを購入しようとしている場合は、検討物件の管理費だけでなく、その管理内容についても確認しておこう。特に、管理員の勤務形態や時間、共用部の清掃の回数や時間などは費用に占める割合も大きいので、押さえておきたい。そのうえで、比較検討を進めていくとよいだろう。
もちろん、入居後に結成される管理組合で、管理会社との管理委託業務内容を見直せば、管理費を下げたり、管理内容を変更したりできる。ただしそれには管理組合の合意が必要なので、見直しに時間がかかることもある点に留意してほしい。

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