国土交通省は、「平成25年度民間住宅ローンの実態に関する調査結果報告書」をとりまとめた。この調査は、住宅ローンを提供している民間金融機関を対象に実施し、1386件の回答を得たもの。個人向けの住宅ローンの新規貸出額が前年より増加するなど、着実な回復傾向が見られる結果となった。
平成24年度の住宅ローンの新規貸出額は、前年度比5.6%増の16兆3150億円だった。内訳は、都市銀行・信託銀行が5兆5201億円、地方銀行が5兆388億円、信用金庫等が1兆6579億円、モーゲージバンク等が1兆3693億円、第二地方銀行が1兆3593億円などとなった。
金利タイプは変動金利型が58.0%、固定金利期間選択型が26.8%、証券化ローン(フラット35)が11.0%、全期間固定金利型4.2%だった。変動金利型の割合は、低金利が続く背景を受けて、平成22年度の52.5%、平成23年度の54.5%と過半数を占める高い水準で推移している。
なお、固定期間選択型の内訳では、10年固定が61.2%で最多、次いで3年固定21.1%となっている。
※金利タイプの特徴は以下の通り
・変動金利型とは、半年ごとに金利が見直されるもの。
・固定金利期間選択型とは、3年、10年などと当初一定期間の金利が固定されているもの
・全期間固定金利型とは、返済期間の金利が固定され、総返済額が確定しているもの
・証券化ローンとは、住宅金融支援機構が民間金融機関と提携して、証券化の手法で資金を調達する「フラット35」のことで、全期間固定金利型でもある
今回注目したいのは住宅ローンの商品ラインアップについてだ。
商品ごとで回答した民間金融機関数が異なるが、現在商品として取り扱っている割合が高い順に、変動金利型、固定金利期間選択型、疾病保障付きとなった。
まず、金利タイプのラインアップでは、変動金利型が96.5%、固定金利期間選択型が94.1%とかなり高い割合を占めるのに対し、全期間固定金利型は64.6%と少なくなっている。
一方で、返済中に特定の疾病にかかった場合、一定の条件下で住宅ローンが保険金により完済される「疾病保障付き」は85.9%とかなり普及していることが分かる。3大疾病保障(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)や7大疾病保障(3大疾病+糖尿病や慢性腎不全などの4大生活習慣病)、8大疾病保障(3大疾病+高血圧症などの5大生活習慣病)などがあり、保険料を住宅ローンの金利に上乗せするなどして支払うのが一般的だ。
筆者が意外に多いと思ったのは、67.1%の「申込時金利を適用可能型」だ。通常は、住宅ローンで適用される金利は借り入れをする時点(融資実行時点)となるが、住宅ローンを申し込んだ時点での金利を適用することができる(申込時と実行時のどちらかの金利を選べる場合も含む)ローンは、金利上昇局面などではメリットが大きい。
金利優遇タイプでは、「環境配慮型」と「住宅の質誘導型」が比較的多い。太陽光発電システムを設置するなど地球環境に配慮した住宅、耐震、省エネ、バリアフリーなどの良質な住宅に対して、金利を優遇するもの。政府が重視している住宅の性能に重きを置いた形だ。
最近では、住宅ローンの低金利を競うだけでは金融機関の収益が悪化するため、預金と連動して繰り上げ返済効果を持たせたローン、産休・育休などのライフステージの変化に柔軟に対応するローンなど、使い勝手を向上させる住宅ローンを強化していく動きもある。
金利タイプも含めて、自分たちの使い勝手のよい住宅ローンは何か、よく比較検討して選べる時代になってきた。今、そのメリットを活かさない手はないだろう。