住宅ローンの低金利が長期間続くなか、これまでは「家賃を払い続けるのはもったいない」と妻からマンション購入を言い出すケースが主流だった。ところが、震災をきっかけに、「家族の安心」を考える夫から購入を言い出すケースが増えているという。
■震災後のマンション購入で、「夫」から購入を言い出したケースが約6割
(株)読売広告社 都市生活研究所の「マンション契約者600人調査2012」によると、最初にマンション購入を言い出したのが「夫」という回答が、震災前は49.5%だったのに対し、震災後は60.9%へと大きく増加した(図参照)という。情報収集や物件の比較検討に関しても、熱心だったのは「夫」という回答が、震災前の33.6%から震災後は47.3%へと増加するなど、震災後の住まい選びは、「夫」が主導権を握っていることがうかがえる結果となった。同研究所では、「震災をきっかけに、家族の安心が“住まいの安心”と不可分であることをあらためて感じ、購買行動を積極化させた世帯主が多かったものと推察される」と分析している。
■夫に主導権が復活? でも、夫婦の合意形成は不可欠
1990年代前半までは、多額の住宅ローンを背負う夫にマイホームの主導権があった。ところが、90年代後半の低金利時代に入ると、シングル女性がマンションを購入するケースが見られるようになり、「高い家賃を払い続けるのはもったいない」と妻がマンション購入を言い出すケースが増えてきた。調査結果でも、震災前は妻に若干の主導権が見られる。
震災をきっかけに、日々の家計や暮らしの快適性という観点から、家族の安心・安全という観点へと住まい選びの軸が変わったということだろう。
夫と妻の住まい選びに関する、これまで発表された調査結果を見ると、「多少無理をしても人生最大の買い物だから妥協したくない」派は妻に多く、「多額なローンを組むから無理はしたくない」派は夫に多いという傾向が見られる。それを埋めるために、親に援助を頼んだり、短期間で頭金を増やしたり、新築から中古に切り替えたりといった解決策を見出して購入に至っている。また、エリアについても、通勤時間優先の夫に対し、実家の近くや立地ブランドにこだわる妻など、重視点に違いがあるというのはよく聞く話だ。
マンションを購入すれば、簡単に住み替えができるわけではないので、夫婦の合意形成は不可欠だ。予算額や広さ・間取り、交通アクセスや周辺環境で重視するものなど、具体的な条件とそれを挙げる理由を互いによく話し合い、二者択一ではなく、選択肢を広げて妥協点を見つけることがポイントになるだろう。
(株)読売広告社都市生活研究所「マンション契約者600人調査2012」
HP:http://www.yomiko.co.jp/news/120131.html