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連載今週の住活トピック
やまくみさん正方形
山本 久美子
2012年9月26日 (水)

言葉は知っているけど、説明できるほど知らない「スマートハウス」とは?

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Photo: iStockphoto / thinkstock
【今週の住活トピック】
スマートハウス認知度は8割、内容理解は2割/インタープライズ・コンサルティング

PDF:http://handr.ipcon.co.jp/pr/smarthouse.pdf

「住宅スマートハウス研究会」を立ち上げた、インタープライズ・コンサルティングは、3年以内に住宅購入を予定する1000人を対象に「スマートハウスについての関心度調査」を実施した。その結果、スマートハウスの認知度は約8割と高かったものの「おおよそ説明できる」のは約2割にとどまったという。

スマートハウスの認知度は高く、関心もあるが、詳しくは知らないという実態

「スマートハウスについての関心度調査」によると、スマートハウスの認知度は約8割に達した(「実際に見たことがあり、どのような住宅かおおよそ説明できる」8.7%、「見たことはないが、どのような住宅かおおよそ説明できる」12.5%、「何となく知っている」27.5%、「名前は聞いたことがあるがよく知らない」36.0%の合計)。このなかで、おおよその説明ができる程度に内容を理解している人は約2割にとどまっているのが現状だ。

スマートハウスへの関心度は、7割強が「関心がある」と回答。その理由については「光熱費が下がりそうだから」71.8%、「エネルギーの問題が気になるから」52.4%、「環境によさそうだから」50.8%が上位を占めた。一方、関心のない理由では「高そう、お金がかかりそう」47.8%が最も多かった。
今回の調査結果から、スマートハウスという言葉は認知されていて関心も高いものの、説明できるほどには知らないという人が多いということが分かった。

スマートハウスを説明する3つのキーワードは「省エネ」「創エネ・蓄エネ」「HEMS」

では、スマートハウスを説明するには、どんなポイントを押さえておけばよいのだろう?スマートハウスについては既に、筆者の「今注目の「スマートハウス」とは?」で、画像入りで説明しているので、併せてご覧いただきたい。

スマートハウスをひとことで言えば、IT(情報技術)を使って家庭内のエネルギー消費を最適化する賢い住宅となる。それを可能にするには、「省エネ」「創エネ・畜エネ」「HEMS」の3つのキーワードがある。
まず、「省エネ」について説明しよう。住宅の断熱性・気密性を高めて外気の暑さ寒さの影響を受けにくくすることがスマートハウスの大前提となるが、さらに自然の風や熱を上手に取り込む設計上の工夫をしたり、省エネ家電を採用することなども省エネに含まれる。

次に「創エネ」は、太陽光発電をはじめとする電気や熱を生み出す設備によるもの、「畜エネ」は家庭用蓄電池や電気自動車の蓄電機能を使用した電気を蓄える仕組みによるもの。家庭内で電気やガスなどのエネルギーを消費するだけでなく、創ったり蓄えたりする設備などを備えていることが、次に説明するエネルギーのコントロールにつながる。

最後の「HEMS=Home Energy Management System」は、住まいのエネルギーを集中コントロールするIT機器のことで、スマートハウスと呼ばれるための心臓部だ。HEMSにより、部屋ごとの使用電力を「見える化」したり、効率的にエネルギーを使うように自動制御したりすることで、無理や無駄のない省エネを実現している。

ただし、スマートハウスには明確な定義がないため、必ずしも上記をすべて満たしているとは限らないし、エネルギーコントロールの方法もさまざまというのが現状だ。スマートハウスが地球環境に優しい住宅であることに間違いはないが、こうした先端技術を使った設備などを搭載しているので、従来の住宅よりコストはかかる。反面、省エネによる光熱費の削減が期待されている。

スマートマンションやスマートタウンへと住宅のスマート化が展開

前述した記事は昨年執筆したものだが、その時点では実証実験の段階のものが多く、商品化されているケースは少なかった。しかし、現在ではほとんどの住宅メーカーでスマートハウスを商品化し、積極的に販売している。住宅のスマート化はさらに広がり、スマートマンションを販売したり、既存の住宅をリフォームによってスマート化したり、スマートハウスを核にしたスマートタウンを販売するなど、いまスマート化に伴う商品は多様化している。

その理由として、東日本大震災とその後の電力不足により、消費者ニーズが変化したことが挙げられるだろう。消費電力の効率化および計画停電時や災害後に最低限の電力確保への関心が高まったことで、多少コストがアップしてもかまわないといった消費者の変化が背景にある。さらには、高額だった設備・システムの価格が量産化を見据えて抑えられるようになってきたこと、太陽光発電システムに加え、HEMSや蓄電池などにも補助金が出されるようになったことなど、さまざまな要因が住宅のスマート化を後押ししている。

また、従来は家電や住宅設備、エネルギー機器などを、各社がバラバラの規格でつくっていたため、集中管理がしづらいことも大きな課題だったが、経済産業省はスマートハウス規格の国際標準化に乗り出している。
統一規格やコストダウンにより、スマートハウスは今後ますます身近なものになるだろう。

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連載 今週の住活トピック 住宅ジャーナリストが住まいの最新ニュースを紹介&解説する連載。毎週水曜更新の「今週の住活トピック」。
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