豚肉品質がウマさの決め手。九州・博多の“トンコ通”が足しげく通うとんかつ屋のちゃんぽん

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ライターの松鵜です。

唐突ながら、県外から遊びに来た友人がツッコミ。

友人「とんかつ屋で、チャンポン?」

私「え? なに? 変?」

友人「博多っ子には豚骨風味の血が流れているなんて冗談を聞いたことがあるけど、まさかとんかつ屋で豚骨ラヴァーズたちに遭遇するとは、、、お見それしました」。

私「とん(豚)でもねぇっす、、、」。

友人「そのギャグ、“ブー”イング上等! ってことでいいかな?」

私「だいじょう“ブー”」。

 

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なんてお寒い掛け合いは置いといて、子どものころからあたり前ににこのお店で チャンポンを食べていたから気にも留めなかったけど、やっぱり珍しいみたいっすね。とんかつ屋でチャンポンというのは。

福岡ではチャンポンを提供しているとんかつ屋をしばしば見かけますが、なかでも『味のかつえだ(以下かつえだ)』のチャンポンは、あまりにも有名。

もろ地元ッ子である私の周りでは、グルメ物心が付き始めるころにこのチャンポンを“知ってるか自慢”が乱発。

この味を知ってはじめてグルメな大人の階段を歩き始めるといった感じで、いわゆるステータス飯だったんです。

 

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てなわけで、まずは『かつえだ』までの道案内。

電車で行くならば「西鉄平尾駅」で降りて、およそ400mをレッツらウォーキングってことで、まぁ駅から10分圏内ってとこです。

県道31号線、通称「高宮通り」の「平尾北」交差点から入って、次の交差点を右折したらすぐ。

 

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5台ほど停めることができる駐車場(つまり車でもOK)の奥に店があります。

創業40年以上の店は8年前に改装。清潔感と開放感がある店なので、気持ちよく食事を楽しむことができます。

 

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活気がある店って「ごちそうさま!」の声が心の底から湧いてきますよね。そんないい雰囲気です。

 

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現在、店を切り盛りしているのは、二代目の兄・貴好さん(写真左)と弟・修さん(写真右)の時枝ブラザーズ。貴好さんがとんかつ&肉メニューを担当し、修さんはチャンポン職人として厨房に立っています。

 

とんかつ、チャンポン以外にもメニューはいろいろあって、どれもこれもオススメなので、まるっとまとめてご紹介させてください!(いづれも記事執筆時点のお値段です)

  • ロースかつ定食(1,190円/単品910円)
  • 特上ロースかつ定食(1,400円/単品1,190円)
  • ヒレかつ定食(1,510円/単品1,300円)
  • ミンチかつ定食(970円/760円)
  • とりかつ定食(1,130円/単品910円)
  • 串かつ定食(970円/単品760円)
  • 海老フライ定食(1,400円/1,190円)
  • 生姜焼定食(1,190円/単品970円)
  • 生姜焼定食W(1,190円/単品970円)
  • とり焼き定食(1,130円/単品910円)
  • ロース焼定食(1,510円/単品970円)
  • 特上ロース焼定食(1,400円/単品1,190円)
  • ヒレ焼定食(1,510円/単品1,300円)
  • ハンバーグ定食(970円/単品760円)
  • カツ丼(760円)
  • 玉子丼(650円)
  • チャンポン(760円)

ユニークさもあってチャンポンの知名度が先行しちゃっているけど、あくまでもこの店の先発エースはとんかつ。

ってことで、金田正一の豪速球ばりに、まっすぐキレがあるおいしさです。まずは、とんかつの醍醐味が味わえる『ロースかつ』をご賞味ください。

 

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「味の決め手は揚げ方にあり!」と貴好さん。

火が入っていないのは論外で、揚げ過ぎも駄目。絶妙な揚げ加減を見極めるためには、箸で持ち上げて重さを確かめることが大切だそうです。

スッと軽くなった瞬間がいいタイミング。余計な水分が抜けた肉はふっくらやわらかく、幸せの軽い食感で口を喜ばせてくれます。

フライヤーに頼っていては、こうは上手に揚がらないらしく、これぞ鉄鍋を使う手間を良しとする職人の妙。クセの少ない上質な白豚を使っているというのも、上品な味わいの理由でございます。

手頃な値段も手伝って、『ミンチかつ』や『カツ丼』なども評判のメニュー。溢れる肉汁orトロトロ卵の海に溺れちゃってください。

 

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さてさて、『ロース焼』にも惹かれたので、レッツ、チェケラッチョ!これまたふっくら焼けた厚切り豚ロースにかかるのは、輝くバター醤油。強火でとろみをつけた官能的なソースのおいしさが口に広がります。

なるほど、これをアテにビールを一杯やって、〆にチャンポンというのも乙な楽しみ方。常連が好むメニューというのが頷けます。

 

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てことで、満を持して抑えのエースが登場。江夏豊ヨロシク、ストレート真っ向勝負のチャンポンです。 つまり、余計な小細工なし、肉、野菜、天ぶら(※ちくわや角天のことです)、そして麺のおいしさが素直にスープに染み出した美味でございます。

 

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炒めた豚肉、イカゲソ、キャベツ、ニンジン、モヤシ、タマネギ、キクラゲ、ちくわ、角天、カマボコを自慢の豚骨スープに合わせたら、そこに生麺を投入。

「ちょっと待って、麺は別茹でじゃないの?」と、無知な私に「ココがポイント」と修さん。

さっき、チラっとフライングして書いちゃいましたけど、麺自体にも旨味があって、これがスープに溶け出すのがウマいんだそう。

また、ボイルをした麺を入れると水っぽくもなるし、どこか物足りない味になってしまうので、専門店でも麺を煮込むというやり方を王道としている店は多いのだとか。

 

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勉強になります、ってことで早速スープをひと口すすると、確かにボディがしっかりしていてエッジが効いている。だけど、こってり野性味があるというわけでなく、滋味深くて後味スッキリといった感じ。スープで煮込んだ麺にもしっかりと旨味がのっていて、ほどよくコシがあるのも博多っ子好み。具材と麺を一緒に掴んで、ズズズっと豪快にすすれば「う〜ん、これこれ♪」。グルメ自慢したくなる気持ち、分かってもらえるハズです。

そもそも、とんかつ屋でチャンポンを作るというのは、実に合理的なアイディア。この店では昔からブロックで豚肉を仕入れているため、余った豚骨でスープを取っているというわけ。

しかも上質な肉の骨からはいいスープが取れるとあって、瞬く間に評判になったそうです。ついでに言うと、野菜も豚汁や付け合わせで使用するものだから、一石二鳥。生まれるべくして生まれた一品、というわけですね。

 

お店情報

味のかつえだ
住所:福岡市平尾3-7-22
電話:092-523-0296
営業:11:30〜OS14:30/18:00〜21:30OS
定休日:日祝日

 

書いた人:マツータケシ

マツータケシ

福岡在住。某出版社を経て、フリーのカメラマン&ライターとして活動中。好きな言葉は「一日三度のメシ」。福岡の安くてうまい穴場を発掘することにはまっている。

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