チェコのベルケー・ハムリという町に建てられたある家が、世界中で話題を集めている。それはエンジニアのボフミル・ロータさんが建てた環境に優しい家。太陽の動きに合わせて家そのものを回転させ室内を暖めるほか、地下へと家を沈めて冷却することもできるという。
そんな仰天なエコハウスが生み出されるなか、日本でも生活に関係するエコのアイデアが続々と生まれている。その発表の場となっているのが、「住空間ecoデザインコンペティション」。未来の住環境を見据えたさまざまな作品が集う場だ。
「当コンペティションは、若きデザイナーの育成を目標に、大学や企業などの参画のもとに毎年開催されています」
そう話してくれたのは、住空間ecoデザインコンペティションの事務局長を勤める広瀬雄樹さん。入賞すると、賞品のほか、原寸大モデルの制作と公開の実物展示が約束されるという。
「日本のエコ住宅の未来は若い人たちのアイデアにかかっています。若い才能を発掘し、育てていくのが私たちの役目。コンペティションで得た経験を糧に日本の住宅の未来を切り開いてほしいですね」
なるほど。エコといえども、それをつくり出すのはあくまでも人。人材の育成がエコ住宅の未来につながるというわけだ。こうした考えのもと2005年の開催以来、多くの受賞作が誕生している。そのいくつかを紹介しよう。
■循環する塀~生ごみをコンポストする塀~
2011年の入賞作。家庭から出る生ごみをコンポストし、堆肥土を利用して食物や花を育てることができる。
■葉たんぽ
2011年の審査員奨励賞作。落ち葉の発酵熱を利用して、椅子を温めることができる。この技術を応用して住宅を暖められるようになるかもしれない。
■雨をひっかける壁
2010年度の最優秀賞。小さな穴から入った雨粒を蓄え、そこを風が通り抜けることで周囲を冷やすことができる。自然の循環システムが特長だ。
■はたけキット
はたけとテーブルが合体した斬新な食卓。新鮮な野菜をその場ですぐ手に入れることができる。まさに採れたて野菜!
まだ実用段階とはいかないまでも、そのどれもが未来のエコにつながるアイデアが詰まったものばかり。今後、このなかから未来の住宅に採用されるものが出てくるかもしれない。