芸能

伊吹吾郎 「脇役が話を動かす。だから脇役の方が面白い」

 主人公・水戸光圀の家臣、渥美格之進を演じたテレビ時代劇『水戸黄門』をはじめ、数多くの時代劇に出演してきた俳優、伊吹吾郎。時代劇の見せ場でもあるチャンバラ、立ち回りについて伊吹が語ったこだわりについて、映画史・時代劇研究家の春日太一氏が解説する。

 * * *
『水戸黄門』に限らず、伊吹はこれまで数多くの時代劇に出演してきた。それだけに、立ち回りに関しても自分なりのこだわりを強く抱いている。

「チャンバラは斬られ役が上手いこと斬られるから、主役が強く見えるんですよ。『芯(=主役)が立つ』っていうけど、立たせるためには周りが上手い人じゃないと駄目なんだ。

 斬られ役がいっぱい出るからということで、最近では製作部が大学生を雇ったりすることもあるんだけど。でも、たいていは初めてやるもんだから『よーい、スタート』って声がかかったら、もう目の色が違うんだよ。こっちも『これは怖いな』と思ってしまう。そうしたら案の定、物凄い勢いで斬りかかってきて『うわっ、ちょっと待って』となる時があります。

 斬られ役はいかに修業が長くないと駄目かっていうことなんです。ですから、『芯』の側の人間は斬られ役をないがしろにしては絶対にいけないね。

 だからといって、本番の時だけ彼らと仲良くしようとしても無理ですよ。普段から仲良くしていないと。人間っていうのは感情の動物だから、そういうのが芝居にも出てくるんですよ。それが『ああ、吾郎ちゃんはこう来るから、俺はこう行くよ』といった『あうん』の呼吸になってくるんです。

 物語自体もそうでね。脇役が話を動かしていて、むしろ主役はそれに絡む付随のものだと。だから脇役の方が面白いです」

※週刊ポスト2014年1月1・10日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

交際中のテレ朝斎藤アナとラグビー日本代表姫野選手
《名古屋お泊りデート写真》テレ朝・斎藤ちはるアナが乗り込んだラグビー姫野和樹の愛車助手席「無防備なジャージ姿のお忍び愛」
NEWSポストセブン
破局した大倉忠義と広瀬アリス
《スクープ》広瀬アリスと大倉忠義が破局!2年交際も「仕事が順調すぎて」すれ違い、アリスはすでに引っ越し
女性セブン
イエローキャブの筆頭格として活躍したかとうれいこ
【生放送中に寝たことも】かとうれいこが語るイエローキャブ時代 忙しすぎて「移動の車で寝ていた」
NEWSポストセブン
伊藤沙莉は商店街でも顔を知られた人物だったという(写真/AFP=時事)
【芸歴20年で掴んだ朝ドラ主演】伊藤沙莉、不遇のバイト時代に都内商店街で見せていた“苦悩の表情”と、そこで覚えた“大人の味”
週刊ポスト
大谷の妻・真美子さん(写真:西村尚己/アフロスポーツ)と水原一平容疑者(時事通信)
《水原一平ショックの影響》大谷翔平 真美子さんのポニーテール観戦で見えた「私も一緒に戦うという覚悟」と夫婦の結束
NEWSポストセブン
大ヒット中の映画『4月になれば彼女は』
『四月になれば彼女は』主演の佐藤健が見せた「座長」としての覚悟 スタッフを感動させた「極寒の海でのサプライズ」
NEWSポストセブン
中国「抗日作品」多数出演の井上朋子さん
中国「抗日作品」多数出演の日本人女優・井上朋子さん告白 現地の芸能界は「強烈な縁故社会」女優が事務所社長に露骨な誘いも
NEWSポストセブン
国が認めた初めての“女ヤクザ”西村まこさん
犬の糞を焼きそばパンに…悪魔の子と呼ばれた少女時代 裏社会史上初の女暴力団員が350万円で売りつけた女性の末路【ヤクザ博士インタビュー】
NEWSポストセブン
大谷翔平
大谷翔平、ハワイの25億円別荘購入に心配の声多数 “お金がらみ”で繰り返される「水原容疑者の悪しき影響」
NEWSポストセブン
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
【全文公開】中森明菜が活動再開 実兄が告白「病床の父の状況を伝えたい」「独立した今なら話ができるかも」、再会を願う家族の切実な思い
女性セブン
伊藤
【『虎に翼』が好発進】伊藤沙莉“父が蒸発して一家離散”からの逆転 演技レッスン未経験での“初めての現場”で遺憾なく才能を発揮
女性セブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン