各国のアーティストが一定期間ある地域に招聘され、滞在しながら作品制作を行う「アーティスト・イン・レジデンス(以下AIR)」。海外では、政府が自国を代表するアーティストを派遣したり、新進アーティストを武者修行のような形で派遣したりといったことを行っているそうだ。
このAIRは日本各地でも盛んに開催されている。有名なのが徳島県名西郡神山町で開催されている神山アーティスト・イン・レジデンスだ。今年で14年目を迎えるこのイベントは、毎年、日本国内および海外からアーティストを招聘し、2ヶ月間ほど神山町に滞在させるという。毎年10月下旬に展覧会を開催するのだが、その作品制作の過程で、アーティストと地元高校生が交流を持ったり、2ヶ月間の滞在中に、アーティストが地元住民と仲良くなり、家の簡単な修理などを請け負うこともあったという。
ほかにも、越後妻有(新潟県十日町市・津南町)で開催された「オーストラリア・ハウス アーティスト・イン・レジデンスプログラム2013夏」では、オーストラリアから招聘されたアーティストが2週間ほど滞在し、地元の材料や技術を用いた作品を制作・展示した。越後妻有は元々アートに馴染みが深い地域で、様々な場所に自然を利用したアートが点在し、それらは住民の手によって守られているという。アートを身近なものとして生活するライフスタイルは、「東京クリエーション大賞」、「地域づくり総務大臣表彰」などの評価を受けており、街づくりの新しいカタチとして日本全国に影響を与えている。
そう説明してくれたのは、日本全国各地で展開しているAIRの情報を日英バイリンガルで提供するウェブサイト「AIR_J(エアージェイ)」の菅野幸子さん。では、AIRが盛り上がることで地方にどのような影響があるのだろうか?
菅野さんによれば、こうしたAIRのブームの一方で課題も見えてきているそうだ。
現在、AIRを通じて過疎地へ日本のアーティストの移住を促進するプログラムも増えているという。地域ごとの面白い取り組みに、今後ますます目が離せなそうだ。