群馬県富岡市の「富岡製糸場と絹産業遺産群」における普遍的価値が評価され、このたび日本で18番目の世界遺産(文化遺産としては14番目)として登録された。日本の蚕糸業、産業近代化に大きく貢献した富岡製糸場の建築工法は、当時としては珍しいものだったとか。歴史についてもひも解きつつ、詳しく見てみよう。
明治5年(1872年)に創設された富岡製糸場(http://www.tomioka-silk.jp/hp/index.html)の工場建設の背景について、富岡市世界遺産まちづくり部富岡製糸場課の結城雅則さんに伺った。
フランス人指導者のもとで進められた建設は、翌年の明治5年(1872年)7月に竣工。アーチ状に積まれたつくりが印象的な東繭倉庫など、富岡製糸場といえばレンガのイメージだ。そして建築から140年の歳月を経てもなお、良好な状態で現存する。どのようにしてつくられたのだろうか。
ちなみにこのレンガ、柄のような流麗な表情を見せる “フランス積み”と呼ばれる積み方で、目地にはセメントの代わりに漆喰が使われているのだそう。富岡製糸場には、建築の面でも近代化の足跡が残されているのである。