国民生活センターの発表によると、2005年をピークに減少していた住宅リフォームのトラブルが再び増加傾向に。悪質な業者の手口が時代に合わせて巧妙化しているのが原因の一つのようです。
例えばエコポイントなどの補助制度を悪用したケース。「新しい断熱材を使えば冷暖房の効果が外に逃げず、エコな上に工事費用もポイント還元されますよ」とすすめ、実際には補助対象外の断熱材を使用。消費者は補助金がもらえないうえ、相場の5~6倍の金額が請求されたり。
またこれまでだと、市町村に委託された業者や近所で工事をしている業者を装い、無料点検と称して家に入り込むケースが多かったのが、最近では数千円といった少額の料金を発生させ、まずは消費者を安心させようとする悪徳業者も。その後は天井裏や床下といった場所へ入り込んで細工をし、結露やひび割れ、シロアリが発生しているなど定番の詐欺に発展します。
さらに許しがたいことに、震災に便乗した悪徳商法も急増。建物がダメージを受けていると不安をあおり、不要な工事の契約を迫っているそう。「そもそもリフォーム会社の営業担当は建築士じゃありませんから、耐震強度などの住宅問題が目で見て分かるはずありません。私たちプロでも、事務所に一度持ち帰って検討してからでないと、正確なご報告はできないんです。また、きちんとした業者が住宅を点検すると数時間はかかるもの。つまり突然自宅へ訪ねてきて、ささっと判定するような業者は、すべて信用しないほうが無難なんです」
訪問販売の場合だと、契約した8日以内であればクーリングオフが可能だという川口副理事長。工事の後であっても期日内であれば適用されるのだとか。さらに地震がきたら必ず崩れるといった脅しや、契約するまで帰らないなどの迷惑行為があった際には、消費者契約法違反とみなされるので、こちらも工事の後であっても契約を無効にできるそうです。
ただ、業者が逃げてしまっていると対処はかなり困難になるので、不安があればすぐに消費者センターにご相談を。複雑なケースになると建築に詳しい人に、工事状況をチェックしてもらう必要も出てきます。
「実際にリフォームを行う場合は、いくらの物を何個使用するか、1㎡何円の工事を何㎡行うのか、どこのメーカーの型式何番の器具を取り付けるのかなど、工事の詳細が記載された見積書を必ず作成してもらいましょう。トラブルになるのは、この見積内訳明細書がないケースがほとんど。いざという時の証拠をつくるため、業者への質問は書面で行い、書面で回答をもらうのも効果的です」自分の身を守るには、勉強をして建築の知識を身に付けるのが一番。だけど、それが難しいときは、工事の前に複数の業者へ相談してみましょう。詳細を見比べることで、悪質な業者に引っかかる可能性はずっと減るはずです。
【取材協力】NPO法人 建築Gメンの会
【お問い合わせ】042-311-4110
【URL】http://www.kenchiku-gmen.or.jp/