今週の気になるニュースの中から、「太陽光パネルの撤去命令」のニュースを深掘りしてみたいと思う。
横浜地方裁判所で、隣家の屋根に取り付けられた太陽光パネルの撤去と損害賠償として22万円の支払いを命じる判決が出された。自然エネルギーによる発電設備として、いま注目を集める太陽光発電だが、設置する際には注意点もありそうだ。
この裁判は、隣家の屋根に取り付けた太陽光パネルの反射光が、家の中に差し込むことで日常生活に支障が出たことを認めたもの。ほぼ毎日午前中に反射光が差し込み、まぶしくて室内で洋裁などの作業ができず、ベランダの洗濯物を干すのにサングラスが必要なほどだったという。反射光による被害を認定し、所有者と設置工事をした会社に対し、北側に取り付けたパネル12枚の撤去などを命じた。
太陽光発電の設置に関しては、住宅リフォーム・紛争処理支援センターの相談事例にも、「屋根に雪止めがないことに対する隣家からのクレーム」などのトラブルが報告されている。屋根に取り付けた太陽光パネルのガラス面がすべるため、雪が降った場合に隣地や道路に積雪が落ちるとして、雪止めを付けるようにと隣家から苦情が入ったもの。
ほかに国民生活センターでも、太陽光発電の設置に関する相談事例が増加しているという。特に訪問販売に関するトラブルが多く、十分な説明を受けられないまま契約してしまったり、契約と違う工事をされたり、モニターだから無料といって後で高額の費用を請求されるといった事例があるようだ。
こんなトラブルに巻き込まれないようにするには、どうしたらよいのだろうか?
紹介したケースは、太陽光発電機器そのものの問題ではないので、販売や設置をする事業者に注意を払えばトラブルを回避できるだろう。
太陽光発電の導入を検討しているのであれば、必ず複数の事業者から説明を聞いて、商品の違いや工事内容、見積額を比較検討したうえで、依頼先を決めるようにしよう。「住宅用太陽光発電システム導入支援補助金」や各自治体の補助金を受けられる場合があり、補助金を理由に契約を急がせたり、見積もりを高くしたりする事業者は避けるべきだ。
また、取り付ける際には、屋根の形状に合った方法で、太陽光を受けやすい場所に適切に設置する必要がある。降雪地域であれば、雪への配慮も必要だ。事業者がこうした知識を持ち、そのエリアでの設置実績が多いことは、事業者選びにあたって重要となる。
そのためには、複数の事業者を呼んで詳しい説明を求め、「説明が丁寧で、できないこともきちんと伝えてくれる」「その地域で設置実績が多い」「見積書が項目ごとに詳しく記載されている」「アフターメンテナンスの対応がある」などをチェックポイントに、信頼できる事業者を選ぶようにしよう。
電力問題で注目される太陽光発電だが、トラブルに巻き込まれないためには、自分でも最低限の知識を得て、事業者を見極めることが大切だ。