ここ6年以内に、住宅を購入したママ2038人にウィメンズパーク(ベネッセコーポレーション)と共同でアンケート調査を行ったところ、「ローン返済のために、どのような努力をしているのか」の質問に対し、主に「食費、被服費、光熱費などの支出を節約している」(https://suumo.jp/journal/2013/07/16/47743/)という結果に。
今回は、住宅購入に関して、家族と意見が食い違ったことはあるか、どうやって相手を説得、もしくは説得されたのかについて、アンケートデータやコメントと筆者が独自で集めた生の声をもとに、その過程を探ってみました。
マイホーム購入に関して意見が違った相手は、主に一緒に家を買う「夫」。主に6割以上のママたちが「夫と意見が違った」と答えています。
8歳の娘と6歳の息子を持つHさんは、「夫はやはりマイホーム=一戸建ての夢を捨てられなかったみたいで、ず~っと土地を探していました。私は便利なマンションに住みたいと思っていたので、最初からつまずいた感じでした」と振り返る。
意見が食い違った相手の第2位と3位は、夫の両親。「とにかく夫の実家のそばに住んで欲しかったみたいですけど、“保育園は転園しにくいので”と言い訳してごまかしました」と3歳の娘を持つYさん。同居でなくても、立地に関しては揉めやすいようです。
最後は自分の両親。やはり夫の両親に比べ、意見が違う割合はぐっと少なくなります。おもしろいのは、舅より姑、実父より実母と、同性のほうが意見の相違度が高いこと。同じ女性同士だからこそ、気になる点がたくさん出てくるのでしょうか。
また、意見が相違した場合、どっちが折れたのか?に関しては、「自分が」「相手が」「意見を取り入れあった」がほぼ同数でした。
意見が違った点も、そもそも買うかどうか、価格、立地など大きな部分の場合もあれば、壁紙の色、コンセントの数など、細かな点までさまざま。
では、意見が違った場合、相手に対してどのように対応しているのでしょうか?
まずは「説得した」ケースについて。
「リビング階段やオープンキッチンなど、“子供のため”と言うと、間取りはだいだい私の意見を聞いてくれました」、「子どもに“転校したくない”と言わせて、同じ学区内で購入できた」など、「子ども」は説得材料には有効のようです。「何度“子どものため”という単語を使ったか」というママもいました。
また、「家に長くいるのは私なので、南向きにはこだわらせてもらった」、「家の中の設備は一番使う人が決めるべき、と主張してキッチンの設備や間取りは私が決めた」など、主婦ならではの意見も多くありました。
一方、ワーキングマザーの場合、「子育てと仕事を両立させるには、私の実家の近くが最優先」、「仕事中に保育園から子どもの発熱の連絡があったら、実家から近いと安心だと力説しました」という声が目立ちました。
また説得の方法も、「中古は嫌と言っていた夫に、古くてもリフォームで新築並みにキレイになった物件を見に連れて行ったら、すっかり考え方が変わったみたい」、「強引にモデルルームに連れて行ったら、買うのもアリかなと思ったよう」など、実際に行動をおこすことは有効かもしれません。
ほかにも、「最初は夫の両親が家を買うことに難色を示していましたが、実際に工務店に出向いて話を聞いたところ考え方が180度変わり、賛成してくれるようになりました」という人は、最後は夫の両親が「どうせならもっと広い区画のほうがいいと、資金援助まで申し出てくれた」というオマケまでつきました。
一方妻が「説得された」ケースはどうでしょうか?
妻側の「子どものため」に対抗する、夫側の説得トークは「ローンは俺が返すんだから」でした。「自分がお金を出すんだから、ひとつぐらいワガママを言いたいと、オプションをひとつつけた」というかわいいものから、「“お金を払うのは俺だ!” で、ほぼ言いなりです」という強硬派まで、ローンのことを言われてしまうと、妻は反論しにくいようです。
「家の希望条件を一覧にし、すべてに優先順位をつけさせられた」、「各オプションの最低価格や必要性を夫がネットで調べ上げ、必要不必要をジャッジ」など、男性はビジネスのように理路整然と説得するのが得意のようです。「建築士だから」「建築関係の仕事をしているから」という理由から、無条件に納得させられたという人も。
また夫に対して強気な妻でも、夫の両親に対抗するのは難しいようで、「援助が前提だったので、夫の実家の近くにしました」、「私たちは家を建てたことがあるんだから、任せてと言われてしまった」、「義父が退職金を使ってでも、同じ敷地内で暮らしたいといわれて、折れるしかなかった」など、説得されてしまっているようです。
このように、マイホーム購入は、夫婦や、それぞれの実家などの思惑がからむもの。お金が介在するとなおさらです。 うまく説得したり、されたりしながら、落としどころを見つけることが大切かもしれません。