住まいの雑学
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SUUMOジャーナル ピックアップ
2013年2月20日 (水)

子どもの成長を手助けする家づくり、そして遊びについて考える

子どもにとって特急電車は、昔も今も特別な空間

2月20日にアメリカ・ニューヨークで、ソニーが「PlayStation Meeting」を開催する。このイベントでは次世代のプレイステーション、PS4 (仮) が発表になるとみられており、業界関係者やゲームファンを中心に注目を集めている。

このPlayStationをはじめとする家庭用ゲーム機器が普及してから四半世紀が過ぎようとしている。その歴史の中では、「子どもが外で遊ばなくなったことは、将来に悪影響なのでは?」という疑問もあった。しかし、遊ぶ場所の変化が子どもの成長にそれほど大きな影響を与えるのだろうか? ということで、ここでは“遊びの環境と子どもの成長”について考えてみたい。

お話をお聞きしたのは、『頭のよい子が育つ家』著者にして、同タイトルのWEBサイトを運営しているスペース・オブ・ファイブ株式会社代表取締役の四十万靖さんだ。
まずは、“頭のよい子が育つ”ためには、どんな環境が大切なのか聞いてみた。

「最初に申し上げたいのが、私の言う頭のよい子とは、考える力のある子ども=コミュニケーション能力のある子どもの事です。従って、“頭のよい子が育つ”には、この能力を養うための仕掛けが必要という事になります。そしてその仕掛けは、3Xという3つの要素に集約されます。3Xとは“表現=Express”、“共有=Exchange”、“探究=Explore”の事で、この3Xがたくさんある場所が、“頭のよい子を育てる”ことになります」

では例えば、3Xがたくさんある家とはどんなものを指すのだろう?

「3Xの要素は、30項目のチェックポイントに定量化されているのですが、そのうちの一つに、家の中にハレの場=非日常空間と、ケの場=日常空間のバランスが取れているかどうか、という項目があります。一般的に父子の関係は“非日常=ハレの関係”であり、それに対して母子の関係は“日常の関係=ケの関係”と言われています」

なるほど、子どもが母親と過ごす空間、また父親と過ごす空間のバランスが重要ということか。しかし、日常空間であるケの場は想像できるとして、ハレの場とはどんな場所を指すのだろう。

「ハレの場の事例では、おうちの一部を電車にしたという戸建住宅(写真参照)があります。南海電鉄が和歌山県橋本市に建てたこの住宅は、ハレの場を思い切って特急電車で表現しました。子どもにとって特急電車は、昔も今も特別な空間ですから」

では続いて、“子どもの成長を手助けする家での遊び”というものはあるのだろうか?

「私がお勧めするのはクイズ問題です。なぜなら、クイズ問題には3Xの要素である“表現”、“共有”、“探究”のすべてが備わっていますから」

ちなみに、どんなクイズ問題が3Xの追求により適しているのだろう。

「オススメは、歴史のクイズ問題。なぜなら、親子で想像を膨らませながら考えるには最適であり、正解がたくさんあるからです。例えば“豊臣秀吉はどんな人でしょう?”という問題を考えてみたとき、一般に秀吉はとっても明るい人というイメージもありますが、本当はどんな人物であったのか誰も分からないのです。ゆえにいろいろな秀吉像が想像可能です。しかし、これが算数ですとそうはいきません。2+5はどこまで行っても7ですから、これでは3Xの追求には至りません」

なるほど、家というハードがあって、そのなかでどんなことをするのか、その有効なソフトを考えることができれば、コミュニケーション能力の高い子どもに育てられるというわけだ。

家庭用ゲーム機の中にも、この3Xが追求できるものはたくさんある。それを親子で楽しむことができれば、それほどセンシティブに考える必要はないのかも知れない。

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