シンプルでスタイリッシュな生活用品で親しまれている「無印良品」。団地再生に力を入れるUR都市機構。2社がコラボした「MUJI×UR 団地リノベーションプロジェクト」による新たな賃貸リノベーション住宅がこの度、大阪に完成した。“生活スタイルのプロ”と“団地のプロ”が手掛けたイマドキの賃貸とは? 早速、見学に行ってみた。
見学したのは、昭和41年誕生の新千里西町団地(大阪・千里ニュータウン内)の2住戸。
■「床に座ってのびのび暮らす」 約43㎡
一軒目の住戸に入った瞬間「お洒落!」と感じたのは、洗練されたダイニングキッチン。真っ白い流し台と、同じサイズのダイニングテーブル、長スツールの3点オリジナル家具が標準設備として付いているという。L字型に置いてもいいし、対面式、横並びとレイアウトは自由自在。スペースを自分らしくアレンジできそうで、ワクワク。
部屋や押し入れの襖を取り払って仕上げた広々空間も特徴だ。LDと寝室に敷き詰めた“麻畳”は、このプロジェクトに合わせてMUJIが開発した床材。和洋折衷の質感で、いぐさの畳より表面が堅いため、机やベッドを置くことができる。もちろん床に座ってもフローリングのような冷たさは感じない。畳の部屋にありがちな古さ感じさせない、スッキリした印象の部屋に生まれ変わる。
■関西のUR団地で初となるシェアハウス 64㎡
もともと4Kという部屋数の多いタイプを、ダイニングを中心にして3人でシェアできる住まいにリノベーションしたもの。個室3部屋+キッチン+共有スペースで、個室の扉は鍵付きだ。浴室はバスタブのない広いシャワールームのみ。若い人が楽しく共同生活するのにぴったり。
■約25戸を2月中旬に募集開始、家賃は5万円台~9万円台の予定
今回、完成したリノベーション賃貸は3団地=「リバーサイドしろきた」(大阪市)、「泉北茶山台二丁」(堺市)、「新千里西町」(豊中市)で、間取りプランは5タイプ。
各プランにつき8~9戸づつ、全部で約25戸程度の募集。2月中旬にモデルルームを公開し、募集を開始する予定だ。
家賃は5万円台~9万円台程度と「おおよそ市場価格と同程度の家賃」(UR都市機構・岩田氏)。これだけデザイン性の高い住まいでこの家賃が実現したのは「古いモノは残しながら新しい価値を生み出す」というコンセプトによるもの。たとえば、押し入れの襖と棚を抜いて部屋を広くしたり、古い鴨居をあえて残して空間のアクセントにするなど、大改修をできるだけ避けることでコストカット。新開発の「組み合わせキッチン」や「麻畳」などを組み入れながら、低コストとデザイン性を実現できたのは、シンプルだが本質を大切にする両社だからこそ、実現できたといえる。