病気とまではいかないが、慢性疲労、偏頭痛、不眠など、何となく不調を感じる場合、自律神経の乱れが原因のことがある。自律神経は脳や血管の働き、ホルモン分泌などを調節する大切な器官だ。
「顔は、自律神経の中枢にある脳幹部の三叉神経に支配されています。顔の皮膚が刺激を受けると、三叉神経から直接脳幹に伝わり、自律神経やホルモンなどに影響を与え、体温、食欲、性欲、睡眠、免疫等が調整されます。
つまり、顔を刺激することは、自律神経そのものを調整することと同じなのです」
そう語るのは、『脳神経外科医が考案した超健康になる「顔もみ療法」』の著者で、和歌山のナガタクリニック院長・長田裕さん。西洋医学の神経解剖学と東洋医学の経穴(ツボ)理論を融合させ、体に備わる自然治癒力を高める“無血刺絡療法”を考案した長田さんは、その治療でパーキンソン病など難病治療の効果を上げているという。
無血刺絡療法を誰でも簡単にできるように、長田さんは“顔もみ”を考案した。これは指の腹を使い、顔の5つのゾーンを“イタ気持ちいい”強さで刺激しながらもみほぐすもの。
自律神経を整え心身をリラックスさせるので、頭や体が軽くなり、肩こり、疲れ目、花粉症、歯周病などの症状の軽減効果があるという。
それを発展させた“爪押し”は、指先でなく、よりピンポイントで刺激を与えられる爪先を使う健康法だ。
「マッサージするのに、爪が長くてできないという人がよくいますが、皮膚にほどよい刺激を与え、自然治癒力を高めるために、爪で刺激を与えることは効果的です。ただし、肌を傷つけない程度の“イタ気持ちいい”強さを守ってください」(長田さん)
「私たち医師が行う“無血刺絡療法”というツボ療法は、ピンセットや爪楊枝など、とがった道具で治療する方法で、個人が行うのは難しいのですが、爪先を使えば、誰でもほどよい刺激を顔などのツボに与えることができます。
爪押しをする場合は、人差し指、中指、薬指の3本の指を使い、爪先を揃えて皮膚を爪で押すこと。自分の爪を使ってツボを押すのですから、肌を傷つけるほど強く押す人はいないでしょうが、あくまでも“イタ気持ちいい”程度に押すことが大切です」(長田さん)
肌をポンポンと軽く叩いて刺激を与えるのではなく、指圧のようにジワーッとゆっくり押圧するのが効果的だ。
「眼精疲労などに効果がある、眉毛のツボは、仕事の合間にも刺激できます。化粧崩れもしにくく、爪あとも目立ちにくいので、疲れを感じたら、押してみましょう」(長田さん)
※女性セブン2014年7月10日号