資格取得や専門知識の習得に――短時間の勉強で成果を上げる7つのコツ

 4月は、これまでとは違う部署・職務に配属されたり、新規プロジェクトが始動したり。新しい専門知識を急いで学ばなければならない人も多いことでしょう。あるいは、資格の勉強をスタートする人もいるかもしれません。

 しかし、仕事が忙しくて「集中して勉強できる時間がとれない!」と悩んでいる人も多いのでは。そこで今回は、資格の学習指導のエキスパートに、短時間でも効果が上がる勉強法を取材しました。

 お話を伺ったのは、資格の通信教育を手がけるフォーサイトの社長であり、『深夜12時過ぎまで働くサラリーマンでも難関資格が取れる勉強法』の著者である山田浩司氏。
すぐに実践できる方法とコツを教えていただきました。

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記憶しやすくするには「視覚」「聴覚」を使う

 テキストや専門書に書かれている文章をただ読むだけでは、なかなか記憶に残りにくいものです。そこで、「映像」や「音声」を積極的に活用しましょう。例えば、講義の動画や音声を視聴する方法です。

 人は「五感」(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を使って情報を取り入れ、物事を判断しています。この五感のうち、どれが敏感かは人によって異なります。「耳で聴くだけでは話を理解できないが、ホワイトボードに書かれたものを見れば理解しやすい」という人がいる一方、「本を読んでもすぐ忘れてしまうが、耳で聴けばすっと頭に入ってくる」という人も。自分に合っている方法を探してみましょう。

 音声の教材がない場合は、自分でテキストの文章を声に出して読んで録音し、電車内などで聴く方法もあります。

 ちょっと変わったところでは、「味覚」が敏感で、「何かを食べながら勉強し、その味の記憶と連動させて覚える」という方法をとっている人も。

8,568通り、あなたはどのタイプ?

平日に勉強するなら、「夜」よりも「朝」

 効率的な勉強のコツは、頭が働いている時間に行うこと。同じ1時間でも、頭が疲れているときに勉強が進むのは正味30分、頭が元気なときは1時間半くらいの密度で進んだりします。つまり、仕事を終えて帰宅した後に勉強するより、睡眠で頭を休めた後、朝、早起きして勉強するほうが効果的といえます。

 「すっきり起きられず、しばらく頭がぼーっとしている」という人は、朝起きてすぐに家を出て、会社の近くのカフェで朝食をとりながら1時間勉強するという手もあります。通勤中に目が覚めてきますし、通勤ラッシュを避けることができるので電車内での勉強もはかどります。

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「ながら勉強」ができる時間を活用する

 忙しいといいつつ、何となくぼーっと過ごしている時間は意外と多いもの。また、何かしているときでも、同時に2つのことを同時進行できる場合があります。そうした時間を有効活用すれば、まとまった時間がとれなくても勉強はできます。先ほどご紹介した「動画」「音声」を視聴する方法は、スマホやタブレットを使えば満員電車での通勤中でも可能。ランチや夕食をとる際、ネットやテレビを観るのではなく講義の動画を観るのもいいでしょう。

 また、朝起きるときに目覚ましの代わりに講義の映像や音声を流す手も。目が覚めた後、布団からしばらく出られない人などは、その時間を使って耳からインプットしてみてはいかがでしょうか。

トイレや洗面所など、「毎日必ず使う場所」を活用する

 用語などを覚えなくてはならない場合、試験直前に詰め込むよりも、何回も繰り返し目に触れさせるほうが効果的。覚えたい内容を書いた紙をトイレの壁に貼っておいて用を足す間に眺める、洗面所に貼っておいて髪を乾かしたり歯を磨いたりする間に眺めるなど、繰り返し見る機会を増やしてみてください。

5~10分のスキマ時間を活用する準備をしておく

 人と待ち合わせをしていて早く着いたとき、会議が始まる直前など、5~10分でもできる勉強はあります。例えば、単語カードなど、ポケットに入れておいてすぐに取り出せるツールを利用する、暗記したい用語をスマホに入れておくなど、「スキマ時間ができたらこれをする」というものを決めておくと時間をムダにせずに済みます。

「復習」を最適なサイクル、タイミングで行う

脳科学者の池谷裕二氏の研究によると、最も効果的な「復習」のタイミングは次のとおりだそうです。

  • 学習した翌日に1回目
  • その1週間後に2回目
  • 2回目の復習から2週間後に3回目
  • 3回目の復習から1ヵ月後に4回目

 このサイクルで復習すれば、忘れにくくなるとのこと。「なかなか覚えられない!」という人は試してみてはいかがでしょうか。

 なお、正しい復習のやり方は、最初に学んだのと同じテキスト・問題集を繰り返すこと。同じ内容でも、異なるテキストや問題集を使ったのでは、復習の効果は半減してしまいます。

勉強した内容を、他人に話してみる

 勉強は「インプット」するものですが、時々は「アウトプット」してみましょう。学んだことを、他の人に話してみるのです。覚えたつもりのことも、他人に話そうとすると言葉が出てこなかったりして、自分が理解できていない箇所をつかむことができます。それに、他人は長くてつまらない話は聞いてくれないので、ポイントを絞って要約する必要もあります。これを行うことで理解が深まり、復習効果につながるというわけです。

 チームで勉強に取り組む場合は、メンバーが交代で「先生」役を務めるなどして、アウトプットの機会を増やしてもいいでしょう。

――以上、「自分に合っている」と思う勉強法を取り入れてみてはいかがでしょうか。

山田浩司氏/株式会社フォーサイト代表取締役

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1962年生まれ。愛知県出身。名古屋大学法学部を卒業後、大手資格受験予備校の支店長を経て、難関資格受験予備校フォーサイトを設立。DVD学習を主軸とした独創的な受験勉強方法を導入し、全国平均の4.25倍(宅建)、3.29倍(社労士)、2.04倍(行政書士)の合格実績を上げる(2014年度実績)。自らも宅建、行政書士などの難関資格を多数保持。

著書に、『深夜12時過ぎまで働くサラリーマンでも難関資格が取れる勉強法』(幻冬舎)『難関試験に一発合格する人の本番力』(幻冬舎)など。

EDIT&WRITING:青木典子

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