記録的な猛暑となった2013年夏。関東や東海、四国などの8つの水系では取水制限も行われ、あらためて水の大切さを痛感した人も多いのでは。でも、節水といわれてもピンとこない人も多いはず。ここでは、専門家とともに節水の基本とイマドキの住宅設備の節水効果について考えてみた。
そもそも、日本人が海外でホームステイすると「水を使いすぎ」と注意されるというのは、よく聞く話。とはいえ、普段、生活していると使いすぎている意識はないのだが……。
「節水の基本は、水を流しっぱなしにしないこと。洗顔や歯磨き、シャワー、食器洗いなど、どれもゆすぐ、流すときに水を使いすぎる傾向にあります。“溜めて使う”を習慣として身につけて、家族みんなで徹底しましょう」とアドバイスしてくれたのは、節約アドバイザー・消費生活アドバイザーでもある和田由貴さん。
ちなみに、歯磨きの際に、水を30秒流しっぱなしにすると6L(1.32円)になるが、コップに汲んで使えば0.6L(0.13円)と、なんと1/10の水量で済む。また、小さな積み重ねという点では、トイレのレバーの使い分けも有効で、大と小では1回2L(0.44円)も使用水量が違うという。1回ごとの使用水量、金額の差は微々たるものだが、1カ月、1年のスパンでみると1000円単位での違いとなりそうだ。
そういえば、少し前に「トイレのタンクにペットボトルを沈めて節約」なんていう方法もあったが、「トイレのタンクを壊してしまうので、絶対にNGです」(和田さん)とのことで、こちらは節水テクにはならないそう。
一方で和田さんがオススメするのが、節水アダブター、節水シャワーヘッドへの交換だ。家庭にもよるが、ヘッドを交換するだけで、使用水量が約半分になるという。通常だと、3分間使用した場合、36L(7.92円)にもなるが、これが約半分の18L(3.96円)になれば節約効果も期待できそう。
「ホームセンターなどで数千円で購入できますし、水圧も落ちないので使い勝手もよく、負担感も少ないはず。特に小さなお子さんは、レバー操作が下手なため、水を出しすぎてしまうもの。節水アダプターにしておけば、自然と使用水量が少なくなるので有効ですよ」
ちなみに、日本の一般家庭でもっとも水を使うものは実はトイレで28%、3割近くをトイレで使っているという。ついで、風呂(24%)、炊事(23%)、洗濯(16%)、洗顔その他(9%)になるとか。
では、大小レバーの使い分け以外に、効果的なトイレの節水方法はあるのだろうか。「実はトイレだけでなく、お風呂、洗濯機も同じなのですが、最新型のものを導入して利用するのが、いちばん効果的です。これは節電も同じです」
なんだか元も子もない気もするが、その理由を聞いていくと、「現在の節水型トイレでは、1回の使用水量が4L(0.88円)というものもありますが、10年前のトイレでは、1回13L(2.86円)なんてことも珍しくありません。1回の使用量で2~3倍の差が出るんですから、1カ月にすれば、かなりの水量・金額になります。そのため、コツコツ努力しても、どうしても差が出てしまうのです」
同様に、食器は手洗いよりも食器洗い乾燥機を利用するほうが、洗濯は最新型のドラム式洗濯機を利用するほうが、節水効果は高いという。
「食器洗いで水を使うのは、すすぎのとき。食洗機は溜めすすぎができるから効果的なんです。また、最新型の洗濯機は、そもそもの使用水量が少なくて済みますし、お風呂の残り湯を汲み上げるホース付きのものもあり、ラクに節水できます。ただ同じドラム式洗濯機でも、乾燥方式がヒートポンプ式でないと、節水は期待できません。ヒーター式だと乾燥時にかなり水を使ってしまうんですよ」
ちなみに、和田さん宅は、夫婦とお子さん2人の4人家族だが、水道代は「1カ月で約3000円ですね。1年通して安定していて、増えることもほぼないです」という。東京都水道局によると、4人家族の平均使用水量は25.7立法メートル、毎月平均6000円というから、約半分となる。
普段から節水習慣を身につけるとともに、家電や住宅設備をうまく使いこなす。これが節水疲れせずに、長続きするコツといえそうだ。
※水道料金は、(社)日本電機工業会 新水道料金・下水道料金より算出。1リットルあたり0.22円で試算