住まいの雑学
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2012年12月2日 (日)

日本が誇るおもてなし文化「おしぼり」。その発祥は平安時代!?

日本が誇るおもてなし文化「おしぼり」。その発祥は平安時代!?
Photo: iStockphoto / thinkstock

寒くなってくると、飲食店に入って出してもらえる暖かいおしぼりにホッとするもの。
このおしぼり、日本では古くから慣れ親しんできた文化らしく、東日本おしぼり協同組合によれば、その歴史は平安時代までさかのぼる(あの有名な『古事記』にもおしぼりに関する記述があるとか)。当時は、公家が客人を家に招く際に濡れた布を提供していたそうだ。

それが室町時代になると、木綿の手ぬぐいに変化。旅籠(はたご)と呼ばれる宿屋の玄関には、旅人のために水を張った桶と手ぬぐいが用意されるようになった。客人は手ぬぐいを桶の水に浸してしぼり、汚れた手や足をぬぐったという。この際の「しぼる」という行為が「おしぼり」の語源になっているのだとか。

そして、戦後復興で日本に飲食店が増えたことがきっかけで、おしぼりを貸すビジネスが誕生した。当時は洗濯したおしぼりを1本1本手で配っていたという。それが外食産業の発展により、量産体制を備えるまでになった。

全国おしぼり協同組合連合会の川合さんは、おしぼりのリユース方法について次のように話す。

「飲食店などで使用されたおしぼりは、回収され、普通の汚れのものと汚れの目立つものとに選別されます。その後、普通の汚れのものは60℃以上の温湯で10分以上、汚れの目立つものは15分以上を2回繰り返して洗われ、消毒すすぎと脱水が行われます。この時点で1枚1枚丁寧に検品し、大丈夫なもののみが包装され、再び検品された後に出荷されるんですよ」

こうしてリユースされるおしぼりは、包装フィルムに厚生労働省が定めた衛生マークが付けられ、クリーンであることが証明されている。また、清潔なおしぼりで手を拭くと手に付着した細菌類を80%以上減少させる効果があるそう。その他にも、やや熱めのおしぼりを目の上に1分程度乗せるだけで目の疲れを癒やすこともできるとか。

日本が生み出した「おしぼり」という伝統文化、そこには日本人の「おもてなしの精神」が体現されている。そんなことを考えながら、手を拭いてホッとしてみると良いかもしれない。

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