2014年10月8日、夜7~10時すぎまで、日本全国で月食が見られます。日本で、全部欠ける「皆既月食」で、早朝とかじゃなくて観察しやすい夜の早めの時間に見られるゼッコーのものはなかなかないのでございます。サクッと観察方法をご紹介いたしましょー。

どんなショーなのか

満月がみるみる欠けていって、全部欠ける皆既になると、赤黒ーい色の月(英語ではブラッドムーン:血の月)が見られる現象です。この色は、皆既月食の時にしか見られません。なんとも奇妙で、思わずみいってしまうできごとです。この、赤黒―い色の月、ブラッドムーンが見られるのは、今回はおよそ1時間です。これはかなーり長く見られるほうでございます。

以下の皆既月食のタイムラプス動画を見てくださいませ。

Total Lunar Eclipse April 15th 2014

こう見ればいいのだー

「夜8時(20時)」前後に見る。このポイントを押さえれば、まずは大丈夫です。小さな子どもにもやさしい時間ですなー。方向? 気になるなら東~南東の方です。そちらが開けているところ。

あとは道具もいりません。フツーに月を見たらよいです。もうちょっといえば、見ごろは、赤黒―いブラッドムーンになる-完全に欠ける皆既月食の状態でございますが。

皆既月食 19時24分 ~ 20時25分 です。

ちなみに、日本全国、どこでも同じ時刻です。

さらに、だんだん欠けていくところ、欠けたのがもどっていくところもなかなかおもしろいです。それぞれ1時間くらいかけて、ゆっくりすすんでいきます。じっと見るというより、チラチラチェックするのがいいですな。

  • 欠けはじめ 18時14分
  • 欠け終わり 21時35分

国立天文台(さすがの日本時間)NASA(世界標準時なので+9時間してください 右下のEclipse Contactsの時刻です)のサイトには、もうちょっと細かい予報がでています。細かい数字が気になるーという方はこちらをどうぞ。

ただ、月食って始まりや終わりがなんかハッキリしない現象なんです。「あ、はじまった」というのが見る人によってズレるのですなー。なので、ちょっとのりしろ付けて見ておいて大丈夫でございます。

東~南東に窓があれば、そこからでも見えるかも

月食がはじまるとき、かけはじめは地平線付近に月があります。それから1時間くらい、皆既になるくらいまでは、遠くが見えるビルの窓からでも楽しめる可能性がかなーりあります。東~南東にあればよいですなー。残業しながら月食が楽しめますよー。

ということで月食は、見りゃみれるというわっかりやすい天文ショーなのですが、もうちょい楽しむにはどうすればよいか。ポイントをご紹介します。

写真を撮ろう

写メでもOKです。最近の携帯やスマホのカメラは、かなりよくできていて、いきなりでもうまくいくことが多いようですなー。ただし、どうもうまくいかないという場合は、次のポイントをチェックしてください。

1. 遠方にピントがでるように工夫

風景撮影モードや、花火、夜景などのモードがあればそれにあわせると吉です。

デジタルカメラで細かく調整できるのであれば、無限大∞にピントをあわせてください。

2. 露出をなんとかする

露出オーバーとかアンダーになりやすいのが、天体撮影でございます。今回の場合は遠い風景と一

緒に撮影すると、適当なところに露出があいやすいですね。

どうしようもないときは、ダメもとでストロボをたいてみてください。カメラがストロボにあわせて露出を下げてくれてちょうどよくなる「ことも」あります。

3. さらにテクニック。三脚―

カメラなら簡易なものでよいので、三脚に載せて撮影するとよいです。そのさいに「セルフタイマー」を使うと手ぶれがない写真が撮影できますなー。

また、三脚で方向固定して連続写真を撮影なんてのもおもしろいですねー。

4. ビデオ撮影もよい、ネット中継もしちゃいます?

3時間ありますから、バッテリーそのほか注意してやってくださいませー。

双眼鏡。望遠鏡で迫力アップ

はい、あればそれにこしたことはないですね。アップで見る月はいいもんです。倍率は50倍くらいまでで、10倍でも5倍でも、肉眼とは違う楽しみができます。

観察会に参加するー、ネット中継もチェック

都会でも観察会が予定されています。大勢でわいわい、指導員のガイド付きで見るのもよいですお。当日直接いけばいいところをいくつかピックアップしておきます。交通・連絡先などはURLチェック

このほかにも、各地の科学館で観望会が予定されています。地元の情報をぜひチェックしてみてくださいませー。

ちなみに

1. 日食と月食はたいていセットですー。

月食は、太陽 → 地球 → 月 の一直線

日食は、太陽 → 月 → 地球 の一直線です

月食のあと、月が地球をぐるりと反対に来たら、日食になりますな。

ただ、「一直線」というのが宇宙ではなかなかなのです。

◎が地球 ○が月 こんくらいはなれています。

◎・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・○

これで、太陽もいれて一直線…ちょいと月が上や下に…いやいくんですよ。いったら月食になりませんなー。一直線になる条件がととのった前後は、まあ、一直線に近いのです。

なので月食の前後に日食があるのでございます。で、今回も10月24日に日食があるのですが…日本ではギリギリ見えない。アメリカなどで見えるのでございますね。

2. なんで赤黒ーくなるの?

月を照らすのは、太陽です。でもって、実は地球も月を照らします。月夜に明るいように、月にとって地球夜は明るいのでございますねー。

ところが、月食が起こるのは満月。月から見たら、地球は真っ黒でございます。ただ、地球には大気がある。月から見たら、地球の周りにリング状に見えるはずでございます。その大気が太陽の光をちょいと曲げて、届かないはずの月に光を与えてくれるのですね。

ただ、赤くなるのは、大気が「赤色フィルター」の役割を果たすからなんですね。それは私たちもいつもは「夕焼け」として見ております。月食の時、月は、直射日光がなくなるかわり、夕焼けに照らされているというのも、まあ近いわけなのでございます。  

3. ちなみに次の月食は…

2015年4月4日 : 午後9時前後です。時刻はグッドですが、皆既月食わずか5分間でございます。

2017年8月8日 : 夜中2時すぎに見られる部分月食です。

2018年1月31日 : 午後9時前後の皆既月食 今回と同じ以上のグッド1時間以上皆既です。

2018年7月28日 : 夜明け前の3時前後の皆既月食です 1時間続くのですが早起き必要

そして、その次は…2021年なんですね。ということで、月食はそうそうチャンスがないので、今回はぜひお見逃しなくー!

著者プロフィール

東明六郎(しののめろくろう)
科学系キュレーター。
あっちの話題と、こっちの情報をくっつけて、おもしろくする業界の人。天文、宇宙系を主なフィールドとする。天文ニュースがあると、突然忙しくなり、生き生きする。年齢不詳で、アイドルのコンサートにも行くミーハーだが、まさかのあんな科学者とも知り合い。安く買える新書を愛し、一度本や資料を読むと、どこに何が書いてあったか覚えるのが特技。だが、細かい内容はその場で忘れる。