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連載今週の住活トピック
やまくみさん正方形
山本 久美子
2012年9月4日 (火)

2人に1人が火災保険と地震保険を同時加入。地震保険は加入すべき?

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Photo: iStockphoto / thinkstock
【今週の住活トピック】
火災保険加入者の53.7%が地震保険に加入/損害保険料率算出機構

http://www.nliro.or.jp/news/2012/120823.html

損害保険の保険料率の基礎となる参考純率や基準料率を算出している「損害保険料率算出機構」は、火災保険の加入者の過半数が地震保険にも加入していると発表した。50%を超えるのは初めてだという。地震保険には、やっぱり加入したほうがよいのだろうか。

東日本大震災の教訓から地震保険の加入者は増加している

「南海トラフ地震」による被害想定を内閣府が発表した。それによると、最悪の場合で32万3000人が死亡し、238万6000棟が全壊・消失するという。大地震は、いつどこで起きてもおかしくない状態だ。

3.11の東日本大震災のあった2011年度中に、新規に契約された火災保険のうち、地震保険を付帯した割合(付帯率)を損害保険料率算出機構がまとめた。それによると、全国平均で付帯率は53.7%となり、初めて50%を超えた。都道府県別に見ると、付帯率が60%を超えた県は宮城県、高知県、愛知県、宮崎県、鹿児島県、岐阜県、徳島県、三重県の8県。伸び率では、東北地方の3県(福島県、宮城県、岩手県)のほか、茨城県、栃木県が10ポイントを超えて増加している。伸び率が最も増加したのは、福島県の18ポイントだった。

地震保険とは何か?

火災保険では補償の対象外となる、地震や津波、噴火などの災害により居住している建物や家財が壊れたり、消失したりした場合、その損害を補償するのが地震保険だ。巨大地震が起こるとその損害は甚大で、支払う保険額も膨大となる。そのため、保険会社が追う保険責任を政府が再保険するという仕組みで、地震保険の普及を図っている。どの保険会社で契約しても内容は変わらないが、必ず火災保険とセットで契約することが条件となっている。また、災害後に早く保険金を受け取れるように、被害の認定は3区分のみとシンプルになっている。

地震保険の主な特徴は以下の通り。

1)補償内容や保険料などの基本は各社とも同じ
2)火災保険に付帯して契約する
3)居住用の建物と家財が対象(※ただし、それぞれに契約が必要)
4)契約金額は火災保険の30~50%以内(※ただし、建物は5000万円、家財は1000万円が上限)
5)保険金の支払いは全損、半損、一部損の3区分
6)保険料は地域と建物の構造(木造か非木造か)で決まる
7)確定申告の際、地震保険料控除の対象となる

※3区分などの詳しい情報は、筆者の「地震保険には、加入すべき? その仕組みは?」も参照ください。

地震保険に加入すべき?注意点は?

いつ起きるか分からないが、損害が甚大という事態に備えるのが保険の役割だ。貯蓄で被害が補えるという人は別として、巨大地震の起きる確率が高くなっている今は、地震保険に加入しておいたほうがよいだろう。

ただし、地震保険は損害を全て補償するものではない。火災保険の場合であれば、住宅を建て直すのに必要な費用(再調達価額)を保険金として契約できるが、地震保険は火災保険の半分までしか契約できない。生活を立て直す一時金として、考えておいたほうがよいだろう。
また、住宅ローンを借りる際に火災保険とセットで契約する地震保険は、通常は建物についてのみなので、家財については別途契約が必要だ。なお、住宅ローンは地震で住宅が倒壊しても、原則として免除されないので、返済を続ける必要がある。

地震保険を抜本的に見直す動きも

東日本大震災では、保険金の支払額が1.2兆円に及んだ(日本損害保険協会調べ)。ただし、実際の被害に比べて支払われる保険金が少ないといった不満も寄せられた。そのため、財務省と損害保険各社は、地震保険制度の抜本改定を検討している。具体的には、損害認定の3区分を4区分に増やす、一定の耐震性を備えた住宅の保険金の上限を「火災保険の50%まで」から引き上げる、耐震性の高さに応じて保険料の割引率を拡大するなどが検討材料として挙がっている一方で、保険金を支払う準備金が不足していることや巨大地震の発生確率が高まっていることなどから保険料を引き上げる方向性で検討している。

地震保険制度の概要について/財務省
HP:http://www.mof.go.jp/financial_system/earthquake_insurance/jisin.htm
https://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2015/05/97a3e7d658abcc014cf75ce60ff9c1b1.jpg
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