モズクに続け! 沖縄伝統食材クビレオゴノリ 養殖化目指す


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栽培試験中のクビレオゴノリ(県水産海洋技術センター提供)

 事業は一括交付金を活用する予定で、予算額は986万円。4年後の実用化を目指す。
 クビレオゴノリはピジモーイ(名護市羽地)、アラモーイ(うるま市与那城)、ガーナ(宮古島市)などと呼ばれ、あえ物などにして食べられてきた。
 県によると昭和50年代には天然物で年間約50トン(推計)が収穫されたが、現在は1~2トンにとどまる。

 県水産海洋技術センター(大嶋洋行所長)は本年度から、沖縄の伝統食材である海藻「クビレオゴノリ」の養殖技術確立に向けた適地調査や生育時期の変更などの研究に乗り出す。同じ養殖藻類のモズクとは養殖場所や収穫時期をずらすことでモズク養殖との複合経営につなげ、養殖業の振興を図る考えだ。関係者は「モズク、海ブドウ、アーサに続く、沖縄の新しい養殖産品にしたい」と意気込んでいる。

クビレオゴノリのシーチキンあえ(県水産海洋技術センター提供)

 収穫量が限られることから価格がモズクの8倍近い1キロ当たり千円程度で取引されている。価値が高く、養殖の効果が高い作物として養殖に向けた事業化を決めた。
 天然のクビレオゴノリは芽だしから収穫の時期が12~5月で、養殖モズク(12~6月)と重なる時期が長い。そのままでは収穫時期が集中し養殖業者の負担分散につながらない。研究では種を事前に用意し、クビレオゴノリの植え付け時期をずらすことで8~1月に前倒しする方策を検討する。
 淡水が混じることなどからモズクの養殖には向かない、河口に近い海域でも栽培できる可能性があるという。養殖する時期と場所の両面でモズクと重ならない養殖方法を検討することで、海域の有効活用と、不安定な生産が続くモズク養殖業者の経営安定を目指す。
 県は、事業化により伝統食材の大衆化や飲食店や土産品の新メニュー開発も期待できるとしている。
 大嶋所長は「海藻の養殖はきれいな沖縄周辺海域の特性を生かした養殖業だ。新しい養殖産品を実現させたい」と意気込んだ。