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ワタミ、過労死遺族側の主張を全面否定 「安全配慮義務違反は存在しない」
東京地方裁判所で2014年7月3日、ワタミ過労死裁判の第4回が開かれた。ワタミ側は、原告(遺族)側が訴えていた安全配慮義務違反を全面否定し、争う姿勢を見せている。
ワタミ創業者の渡邉美樹氏は3月の第2回裁判で遺族に初めて謝罪し、「道義的責任」を認めたものの、法的責任については「見解相違」があり司法の判断に任せるとしていた。今回はその「見解相違」に関して、ワタミ側が原告の主張を否定した形だ。
研修や勉強会は「参加を強制していたものではない」
今回焦点となったのは、2008年6月に入社2か月で過労自殺した森美菜さん(当時ワタミ社員)について、ワタミ側の「安全配慮義務違反」があったかどうかという点だ。
今回は原告側の主張について、主に3点の口頭弁論が行われた。
美菜さんは休日のたびに、ボランティア研修(5月12日)や調理講習会(5月22日)、早朝研修会(5月28日、6月11日)や懇親会など多くの行事に参加していた。研修や勉強会には「課題やレポート」の作成が求められていた。
原告側はこれを「労働時間」であり、過重労働を示す材料のひとつだと主張している。しかしワタミ側は、この研修等は「任意参加だった」と反論した。
さらに、課題やレポートに関しても、参加が任意なのだから「業務に該当しない」ものであり、「労働時間に当たらないことは明らか」と否定している。
長時間労働に関しても、ワタミ側は原告の主張を否定している。美菜さんは勤務開始時間(16時)より早い時刻に出勤していたが、これは「自主的」であり、店長の指示に基づくものではないという。
「大変な業務」というのは「原告の想像にすぎない」
さらに美菜さんは、午前3時半の終業から朝5時まで「始発待機時間」として店舗内にとどまっていた。これを原告側は「労働時間にあたる」と主張しているが、ワタミ側は「指揮監督下にはなかった」ことを理由に、労働時間に該当することを否定している。
だが、美菜さんが入居を指定された社宅は、店舗から徒歩で帰宅できる場所ではなかった。原告側はこの社宅からの通勤を「ワタミ人材開発本部から命じられた」と主張しているが、ここもワタミ側の主張は違う。
さらに業務内容についても、フォロー体制などを挙げ、「1人で大変な業務(刺場)を受け持たされていたなどというのは原告らの想像にすぎず事実ではない」と否定している。
つまりワタミ側の主張は、すべてにおいて「安全配慮義務違反は存在しない」というものであり、原告側の主張を真っ向から否定している形になっている。
原告主張「書面を読みながら腹立たしくて…」
さらに、その違反が存在しない以上、渡邉美樹氏(ワタミ代表取締役社長=当時)、栗原聡氏(ワタミフードサービス代表取締役=当時)、小林典史氏(ワタミ人材開発本部人事部統括本部長=当時)も「何らかの責任を負うことはない」と、個人の責任についても全面否定だ。
裁判の後、遺族側は報告集会を開き、父母が哀しみの会見を行った。
原告側の玉木一成弁護士も同じ集会で、こう憤りを顕わにした。
ワタミグループは2008年4月から2013年2月まで、労働基準監督官から24件の是正勧告と17件の指導票を受けている。これについて原告側は「被告(ワタミ側)らの責任の存否を判断するうえで、必要不可欠の文書」として裁判での提出を求めているが、ワタミ側は提出を拒否している。
この文書について裁判所は、今回の裁判で「出せるものがあるなら出しなさい」とワタミ側に促した。次回裁判(9月22日)では、この提出の有無が焦点のひとつになる。
あわせてよみたい:ワタミブラック企業は「風評被害」と渡邉美樹氏
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