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新山詩織『絶対』インタビュー

新山詩織 『絶対』 インタビュー

 ありのままを吐き出すことでしか新山詩織の音楽は成立しないのかもしれないけれど、だからこそ彼女と同じように苦悩してる人の“ただ隣にいるだけ”、でもそれが救いになる歌は生むことができる。そんな新山詩織100%の新作『絶対』について語ってもらった。

「私、何をこんなに怯えてるんだろうな。何が怖いんだろうな」

--今秋、フラワーカンパニーズ25周年記念トリビュートアルバムに参加。名曲「深夜高速」をカバーしてみていかがでした?

フラワーカンパニーズ 『深夜高速 [LIVE at 東京日比谷野外大音楽堂(2013.4.21)]』
フラワーカンパニーズ 『深夜高速 [LIVE at 東京日比谷野外大音楽堂(2013.4.21)]』

新山詩織:私が10代のうちに歌えたっていうのはすごく大きかったです。元々本当に好きでずっと聴いていた曲だったので、まさか私が歌わせてもらえるとは思ってなかったんですけど、「生きててよかった!」って思いっきり吐き出せた感じがすごく爽快でした。

--今の新山詩織が「十代はいつか終わる 生きていればすぐ終わる 若さはいつも素裸 見苦しい程ひとりぼっち」と歌うって意味深いですよね。元々どんな印象をあの曲に対して持っていたんですか?

新山詩織:ひたすらもがいているというか、すごくガムシャラというか……何かを貫こうとしている。

--今の新山さんが「生きていてよかった!」って思うのってどんなとき?

新山詩織:………………歌っているときもそうだし、顔も知らない人たちと自分の歌で繋がってるんだなって感じたとき。それは凄いことだと思うし、生きていてよかったなって思う。

--こうしてお会いするのは、Suzu×Saku×新山詩織×山崎あおいのギタ女4者対談以来になります。新山詩織がみんなに「男性のタイプは?」と聞く衝撃的な内容になりましたが(笑)、ああやって他の女性シンガーソングライターと話したり、対バンするのはどんな気分?

新山詩織:やっている音楽に人柄がすごく出ている人ばっかりだなと思って。みんな違うタイプだから、話すのは緊張するけど(笑)、すごく新鮮な気持ちになります。

--ギタ女と形容されること自体にはどんなことを感じたりします?

新山詩織:悪く感じることは全然ないし、そういう括りがあってそのうちの一人として知ってもらうのは、逆にハッキリと自分のことを知ってもらえるというか。歌詞とか歌とか声とかちゃんと聴いてもらえるような気がするので、良いと思います。

--新山詩織はギタ女と形容される存在でありながら、ギタ女シーンの中でかなり異端児的存在だと思うんですが、自分ではどう思います?

新山詩織『絶対』インタビュー

新山詩織:「私は違う」とかそういうんじゃなくて……私は私だから。どこの位置にいるかとかは正直そこまで気にしたことはないです。

--極端な話、「自分みたいな女性シンガーソングライターって他にいないな」と思いません?

新山詩織:それは思ってます。自分で言うのもアレだけど、全然女っぽくないし、男と女の中間にいるように自分では勝手に思ってて。声も高くないし、歌詞もストレートだし、そういうところは他の女性シンガーソングライターとは違うんじゃないかなって感じてもらえる気がします。

--個人的には、新山詩織の魅力は不器用さだと思っていて。だから自分を曝け出すことでしか音楽を表現できない。でもそれ故に純度の高い歌を響かせられると思うんですが、そういう自分をどう思います?

新山詩織:昔はそんな自分を嫌々受け止めてたけど、今はそれがあったから自分らしい歌詞が書けてると思うし…………もちろん不器用だからそのときそのときは不安になるけど、今はこのままでいいんだな、よかったなって思います。

--初めて会ったときに言っていた「代弁するとか、あからさまに背中を押すとかじゃなくて……ただ隣にいるだけ」そういう音楽は着飾って作れるものではないですよね。

新山詩織:そう思います。「ただ隣にいるだけ」そういう歌を届けたい想いは変わらないですし、やっぱり「どうやったら上手く書けるんだろう?」とか思い始めると何にも書けなくて……最終的には自分の素直な言葉しか出てこない。

--今回の新曲「絶対」は、そんな新山詩織にしか歌えない曲ですよね。どんな心境から生まれたものなんでしょう?

新山詩織「絶対」MV
新山詩織「絶対」MV

新山詩織:3月に高校を卒業して、その月に1stアルバム『しおり』の発売があったので、「もう学生は終わりか……」「卒業か……」って余韻に浸る感じも自分の中ではなくて。アルバムのキャンペーンがあって、4月にはワンマンツアーもあったので、卒業からそのまま一気に走っていた感じがあったんですけど、ワンマンの東京公演が終わった次の日ぐらいから、今まで走っていたゆえの緊張感とか、張り詰めていた気持ちが一気に解けてしまって……からっぽになってしまって、その状態が結構ずっと続いて。卒業して自分に時間がたくさんできたから、その中でギターを練習したり、歌詞書いたり、曲作ったり、レコーディングしたり、友達と出掛けたりもしていたんですけど、「この先どうなるんだろう?」っていう不安。歌詞書いててもなかなか自分の思うように言葉が出てこなかったりして…………。そんな日々の中で、自分の好きな曲を家で大音量で聴いていたときに、「私、何をこんなに怯えてるんだろうな。何が怖いんだろうな」って思って、気付いたらそういうことをノートに書いていて、それが「絶対」の歌詞のはじまりの三行。そこからガァーっと歌詞は出来ていって、メロディーも一緒に出てきて。

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新山詩織「絶対」

絶対

2014/12/03 RELEASE
JBCZ-6013 ¥ 1,650(税込)

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Disc01
  1. 01.絶対
  2. 02.分かってるよ
  3. 03.絶対 -instrumental-

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