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性同一性障害と保険証の性別表記 2

~表記変更を認めてもらうには?~

 医療機関や身分証明などで、何気なく提示する保険証。
 しかし、保険証を差し出すたびに、そこに記載された性別に違和感を覚える人もいます。

 このような感覚に悩む性同一性障害の人々のために、このほど、保険証の性別表記の場所を変更することが認められました。
 変更を認めるにあたり厚生労働省が示している基準は「やむを得ない理由があると保険者が判断した場合に、保険証の表面ではなく裏面に戸籍上の性別を記載できるようにする」というものです。

■「やむを得ない理由」って何?

 「やむを得ない理由」とは、被保険者やその被扶養者が性同一性障害者であって、保険証の表面に戸籍上の性別が記載されることに嫌悪している場合等を指しています。

 保険者がこうした理由の有無を判断するのは難しそうですが、想定では、本人からの申出に加えて、性同一性障害の治療のために精神科等へ通院していることが診療報酬明細書等により確認できれば「理由あり」と判断して良いようです。
  ただ、保険証の性別表記に嫌悪していることがわかれば、必ずしも精神科等に通院している必要はありませんし、医師の診断書も求められてはいません。
 保険証に記載されているのは戸籍上の性別に変わりないからです。

 しかし、「やむを得ない理由」の有無が判別できない場合は、保険者の判断で診断書の提示を求めることも許されています。

■実際どんな風に表記される?

 保険証の裏面に戸籍上の性別を記載する際、その詳細な形式は各保険者に委ねられています。
 前回紹介した松江市の男性の例のように「戸籍上の性別は男(または女)」としてもいいですし、「男(または女)」、「性別:男(または女)」などとしても構いませんが、いずれにしても保険医療機関等が簡単に戸籍上の性別を判断できなくてはなりません。

 また、裏面に戸籍上の性別が書いてあるなら表面は本人の望む性別を記載したいという声もあるでしょうが、それは認められていません。
 仮に、表面に戸籍上の性別とは異なる性別を記載した場合、保健医療機関等が裏面の確認をしなければ、裏面の戸籍上の性別を把握することができないからです。
 同様に、表面の性別欄に「裏面参照」の記載をなくし、空欄とすることも、外見での性別判断につながるおそれがあるため認められません。

 ちなみに、高齢受給者証限度額適用認定証介護保険の被保険者証等についても、本人からの申出があれば、同じ対応が受けられます。

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