梅雨で雨が続くと、うっとうしくて何もする気が起きない、となりがちだが、梅雨時こそ雨漏りをチェックするチャンスなのだ。そこで雨漏りの有無のチェック方法をさくら事務所のホームインスペクター(住宅診断士)、大久保新さんにうかがった。
大久保さんによると、一戸建ての場合、雨漏りは被害が大きくなりやすい反面、早く見つけることができれば補修費用が安く抑えられるという。早期発見のためには点検日を決めておき、毎年点検するのが望ましいとのことだ。
その雨漏りの点検は、梅雨時がチャンスとなる。雨が降る前に住まいの状態を点検しておき、雨が降った後で変化の有無を確認することで、専門家でなくても危険サインを見つけやすいからだ。
まずは、点検のための道具を用意しよう。
点検の基本は、「観察」と「記録」だ。「染み・変色」や大きな「ひび割れ」がないか観察をして、異常があれば、その場所を図面に記載し、その状況を写真やメモで合番を振って記録していこう。
「ひび割れ」については、0.5mm以上、あるいはそれ未満でも集中して多数にある場合は「要注意」、1mm以上ある場合は補修が必要だ。つなぎ目に隙間が空いている場合も補修を検討したほうがよいそうだ。
点検する場所は、「外観」「室内」「屋根裏」「床下」「設備」など。屋根裏や床下は、それぞれ点検口から見える範囲で観察しよう。特に雨漏りの形跡が出やすい、窓まわりや天井、屋根やバルコニーの裏側などはよく観察するべき場所だ。ひび割れ、隙間、雨染みや変色、変形などがあれば、細かく記録しておこう。
そして、雨が上がった翌日に、再度住まいを点検しよう。雨が降る前と比べて、雨が降った後に染みや膨れなどの変化があった場合は、雨漏りの大きなサインだ。雨漏りのサインはすぐに表れず、2日後などに現れる場合もあるので、できれば2日後などにも、怪しい箇所は念のために再点検しておきたい。
屋根や壁のひび割れや隙間から雨が浸み込んで、どこかに溜まってしまうと、木材や金属の腐食が進行し、カビが発生したり、白アリが巣食ったりなどの重大な不具合に至る。雨漏りの箇所と腐食している場所が離れている場合もあるので、染みや変色は大きなサインとなる。
雨漏りのサインの具体例をいくつか紹介しよう。壁の染み(図3)、バルコニー裏側の染み(図4)、窓まわりの染み(図5)などが、分かりやすいサインとなる。雨染みは乾くと消えてしまう場合もあるので、雨が多い梅雨時にチェックをして早期に見つけておきたい。
こうした観察と記録による点検で、異常があると感じたら、専門家に詳しい調査を依頼するとよいだろう。その際に、こうした記録があれば、専門家が原因を特定しやすくなるというメリットもある。
また、雨漏りの原因となるひび割れや隙間は、ホームセンターで販売している材料を使って、自分たちでも補修できる。ひび割れが小さいうちに補修しておき、雨漏りの予防をするというのも効果的だ。
大久保さんによると、住んでいる人が、雨漏りに気づいていないことが意外に多いという。点検という視点で観察して初めて気づく場合もあるので、雨の多い梅雨時を利用して雨漏りチェックをしてはいかがだろう。