発行日 : 2009年11月09日

南極観測船・先代「しらせ」の「第2の船出」を皆様と共に

SHIRASE -「地球環境」の交信・共創の場に-

株式会社ウェザーニューズ(代表 草開千仁、本社 東京都港区)は、長年にわたり南極観測、地球環境の観測に貢献してきた南極観測船・先代「しらせ」の保存活用に関する再公募に応募していましたが、検討委員会による審査の結果、本日選定先に決定しました。 当社では、日本の資産とも言える先代「しらせ」を、気候変動・地球環境をグローバルに広く交信・共創する実践の場“SHIRASE”として、新たなテーマをもった生きた存在として再生していきたいと考えています。
携帯サイト「ウェザーニュース」のサイト画面

<先代「しらせ」>

SHIRASEの取り組み

当社は、民間気象会社として、地球の「今」を見続け、気象を通じた価値をサポーター(企業、個人)とともに創造し、サービスをグローバルに展開してきました。ここ数年、当社の多くのサポーターが気象はもちろん気候変動、環境問題に関心を広げていく中、これまで蓄積した気象サービスをベースに、それらへの取り組みを始めているところです。 一方で、気候変動・環境問題はまだ未知・未踏のことが多く、また国、企業、個人が主体的に、かつ連動して全体最適化を求め、参加、実践が必要な時期であると考えています。 こうした中で、当社では先代「しらせ」を、単に過去を展示・保存する発想を超え、気候変動、環境という未来に脈々とつながるテーマを実践的に共創していく、新しく生きた存在(シンボル)として、再生していきたいと考えています。折しも、日本はCO2削減25%を目標に、環境問題をグローバルにリードし始めた時期です。SHIRASEが、こうした活動に貢献できるシンボルの一つとなるよう、多くの関心のある方々の知恵と参加を集め、共創を進めていきたいと考えています。
  1. 地球の「今」をモニタリング・感測する拠点

    気候変動、環境問題を考える上で、変化をモニタリングすることがまず重要です。
    そこで、SHIRASEでは、地球環境のモニタリングを実践し、情報発信していきます。
      

    <極域の今をモニタリング>

    日本の南極観測は、オゾンホールを最初に発見するなど地球環境観測に大きな貢献を果たしてきました。SHIRASEでは、これまでの南極観測を紹介するだけでなく、南極観測の現状をリアルタイムに伝えたり、北極の氷の状況をモニタリングするなど、地球環境問題を考え、行動していくうえで重要な極域の観測を実践していきます。
    具体的には、極域をはじめ世界中の氷をモニタリングしている当社のグローバルアイスセンターをSHIRASE内に設置し、地球環境をリアルタイムで観測するとともに、その情報をグローバルに発信します。
    温暖化の進行を抑制していく一方で、中・長期的な視点でその変化に対応していくことも重要です。一例として、北極海の氷の減少は近年著しく、北極海航路の航行の可能性が見出されてきました。北極海航路が実現すれば、これまでの航路の2/3程度に航路短縮が可能です。航路が可能になれば燃料消費も少なくなり、CO2の排出も減少します(欧州・アジア間の年間航海が1,000航海とした場合、仮に北極海航路に変われば、年間で300万トン以上のCO2の削減が可能です)。   このように、極域の状況を把握するだけではなく、気候変動・環境問題に対処していくための実践的なコンテンツをSHIRASEから発信していきたいと考えています。
      

    <レーダーや衛星で気象・気候変動を観測>

    SHIRASEそのものが観測の拠点として機能するように、首都圏をカバーする小型レーダーを設置します。異常気象とも言われているゲリラ雷雨や強風などをリアルタイムに観測し、その情報を公開します。
    当社が2010年の打上げを予定している独自小型衛星では、地球環境をモニタリングするため、サポーターと協力して、CO2のモニタリング、評価を予定しています。   こうしたリアルタイムなモニタリングを、SHIRASEの中で運営・情報発信していくことによって、気候変動、環境問題への実践的な取り組みを行っていきます。
  2. 気候変動、環境問題の交流、共創の場

    気候変動、環境問題をより深く理解し、行動していくためには「科学的無知からの解放」を進める必要があります。SHIRASEでは、気候変動や環境問題に関する科学的な知識、知見を広げ、具体的な行動を起こすきっかけとなる場として、展示やディスカッション、体験の場として様々な企画を展開していく予定です。
    気候変動・環境問題をテーマに、国内外の専門家、企業、個人が参加する会議やディスカッションや子どもたちを対象に、自ら考え、行動していくための「環境予報志道場」等を開催していく予定です。
  3. SHIRASE発の情報・コンテンツ発信

    SHIRASEでは、気候変動・環境問題を多くの方とともに共有、共創していくために、1)2)で展開する情報・コンテンツを、インターネットをはじめ様々なメディアを通じて展開します。ネットワーク時代のメリットを最大限活用して、実際に来られない方にもSHIRASEが目指す気候変動・環境問題を共有できるようにします。
  4. SHIRASEの運営について

    SHIRASEの運営主体はウェザーニューズですが、国や自治体、港湾関係者はもちろん、気候変動・環境問題に関連する企業・団体、有識者、個人等のたくさんの方の参加・協力を得て、共創していきます。KANCHOは当社代表取締役副社長の宮部、副KANCHOには、75歳でエベレストに登頂した冒険家の三浦雄一郎さんを迎える予定です。

決定までの経緯

当社では、昨年10月、退役するまで日本の極地観測に貢献してきた南極観測船・先代「しらせ」が、スクラップになる決定がされたことを知り、日本の財産とも言える同船を「環境のシンボル」として新しく生かしたいと考えていました。 その後、スクラップ市場価格が下がり、存続を求める声が高まったことから、先代「しらせ」の後利用に関する再公募があり、当社が提案した内容を評価いただき、このたび当社に決定した次第です。

設置場所・今後の予定

SHIRASEは、生きた存在として存続させることを目指し、固定するのではなく、一定の条件のもと、港に係留します。係留場所は、首都圏に近く当社のグローバルセンターがある千葉県を予定しています。 2010年3月には、引き渡しがあり、横須賀港から曳航し、当面の間は、船橋港(船橋市高瀬京葉食品コンビナート岸壁)に係留する予定です。その後は、千葉港や幕張沖などへの移動も検討しています。いずれの場合も、今後、県、市、港湾関係者とともに、実現に向けた詳細を検討していきたいと考えていきます。

当社では、今後もSHIRASEを、気候変動・環境問題に関心のあるたくさんの方々とともに、実現していきたいと考えております。

株式会社ウェザーニューズ(東証1部 <4825>)について

世界主要国 / 地域に32の営業拠点を持つ、世界最大の民間気象情報会社。
海、空、陸のあらゆる気象現象の世界最大規模のデータベースを有し、独自の予報により、航空、海運、流通、自治体などの各業務の問題解決情報を提供している。
一般個人に対しては、携帯電話、インターネット、BSデジタル放送等のメディアを通じて、個人の生活を支援する各種情報を提供。