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連載いつかはマイホーム! 家とお金
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田方 みき
2014年12月3日 (水)

まさか! 携帯電話料金の滞納で住宅ローンが借りられない?

まさか! 携帯電話料金の滞納で住宅ローンが借りられない?(写真:iStock / thinkstock)
写真:iStock / thinkstock
連載【いつかはマイホーム! 住まいに関わるお金のハナシ】
資金計画、住宅ローン、税金etc. 住まいに関わる「お金のこと」をさまざまな角度から解説する連載です。

最近、住宅ローンが借りられなかった人のなかに、「ほかに借りているローンはないし、年収も勤続年数も条件をクリアしているはず。思い当たるのは携帯料金の滞納だけ」というケースが出てきている。多くの人にとって身近な携帯電話。その支払いの滞納が住宅ローン審査に影響するとしたらマズイ! 一体どういうことなのか、詳しくみていこう。

通話料延滞ではなかったローンへの影響。スマホの普及が原因?

「携帯電話の通話料やパケット代の延滞でローンが借りられなくなるというのは、以前はあまりないケースでした。あるとすれば、通話料金の多額の滞納で訴訟にまで発展した場合です。しかし、ここ数年、携帯料金の滞納が住宅ローン審査に影響しているのでは、という例が出てきています。これは、スマートフォンの普及に原因がありそうです」と話すのは、パークフロント法律事務所の佐藤眞紀世弁護士。

スマートフォン本体は高額なものが多いため、一括払いではなく分割払いで購入する人が多い。この分割払いがクレジット契約の場合もある。ここが注意したいポイントなのだ。

スマホ本体の分割払いは滞納が信用情報に影響するクレジット契約

ローンやクレジット払いの滞納があると、指定信用情報機関に滞納の情報が登録され、その後、クレジットカードをつくったり、クレジットやローンが組めなかったりすることがある。住宅ローン審査の際も、金融機関は申し込む人の信用情報を紹介し、問題があるとみなせば融資をしない、または、希望よりも少ない金額を上限にするケースも多い。

スマホの購入と契約を携帯電話事業者(キャリア)の窓口で行うと、たくさんの書類にサインを求められるが、そのなかに「個別信用購入あっせん契約申込書」というものがある。
筆者が先日、分割払いで契約を行ったときも、この申込書にサインをした。控えを見ると「当社の定める期日までに分割支払金をお支払いただけない場合、加盟信用情報機関にお支払いが遅延した事実が登録されます。」とハッキリと赤い文字で書かれている。これは、“滞納したら信用情報に記録が載りますよ”という意味。つまり、滞納をすることで、自分自身の信用情報に傷がつき、将来の住宅ローン審査に影響するというわけだ。

滞納件数は急増。将来、住宅ローンが借りられない人も増える?

携帯電話の支払いをクレジット(分割)払いにする人は、ここ数年で増えている。平成22年12月では、クレジット契約件数の累計は約3821万件。平成26年9月には約1億1076万件で、およそ5年間で7246万件も増えている。それに伴って、滞納件数も増え、平成22年12月では約92万件だったのが、平成26年9月では約336万件とすごい数だ。「たかが携帯電話」と思って少しくらいの滞納は仕方ないと思っている人もいるのかもしれない。この中から、将来、住宅ローンを借りようとしたときに、審査が通らない人が出てくる可能性がある。

【図1】「携帯電話のクレジット契約件数(累積)と滞納率の推移」/資料提供:株式会社シー・アイ・シー(指定信用情報機関)

【図1】「携帯電話のクレジット契約件数(累積)と滞納率の推移」/資料提供:株式会社シー・アイ・シー(指定信用情報機関)

住宅ローンの審査は、年収や年齢、勤続年数、購入予定物件の担保価値など、さまざまな条件から検討される。そのため、審査に通らず借りられなかったとしても、携帯料金の滞納だけが原因とは限らない。

「過去にクレジットの引き落としができなかった、など、ほかにも滞納や延滞がなかったかも思い出してみてください。電気代や水道代などの公共料金を銀行口座からの引き落としではなく、クレジットカード決済にしていてうっかり滞納した場合も、結果として信用情報に記録されます。滞納の記録は一定の年数経過により消えますが、日々のランニングコストさえ滞納してしまうタイプの人は、将来、住宅ローンを滞納する可能性も否定できません。自分は住宅ローンを借りてもいいのか、資金計画そのものの見直しが必要でしょう」(佐藤さん)

スマホの購入&契約時は、さまざまな書類に次々とサインをするため、自分がクレジット契約を結んでいるという自覚がない人もいそうだ。しかし、うっかり滞納は、その後のローン審査に大きく影響する。毎月いくら支払うのか、引き落としの期日はいつかを、きちんと確認して、滞納がないように気をつけよう。

●取材協力
パークフロント法律事務所 佐藤眞紀世さん
HP:http://www.parkfront-law-office.com/
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