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谷口 勇人
2011年10月18日 (火)

道を走っていると見かける、山の斜面に建つ家の謎

道路を走っているときや、電車の窓から外を眺めているときに、たまに見かける「山の斜面にぽつんと建っている家」。眺めがよさそうだなぁとは思うものの、よく考えると、いちいち下山しないと買い物にも行けなさそうだし、電気や水道がちゃんと来ているのかも不明……。
山のなかに家を建てるときの注意点や、実際に探すにはどうしたらよいのか?
不動産会社の人に聞いてみました。

■山のなかに家を建てるときの注意点はありますか?
「まずなにより、その山に家を建ててもいいのかどうかを確認しなければなりません。もし、建てようとしている場所が“市街化調整区域”の場合、基本的に住宅など建物を建てることができません。市町村など自治体で確認してください。

建ててもOKならば、つぎは電気・ガス・水道といったインフラを確保しなければなりません。ほかにも住居があるようなら、すでに電気・ガス・水道などが準備されていることも期待できますが、周囲に家もないようでしたら、電信柱を建てたり、上下水道工事を行ったりしなければなりません。すべて自費となります。ガスはプロパンでもまかなえます。

さらに、地盤調査、斜面地であれば地盤改良、工事車両などを通すための道路整備など、家を建てるまでに大変な手間がかかるのが現実です」

■どうやって探せばいいのでしょうか?
「土地でも、すでに建っている物件でも、不動産会社に問い合わせを行えばよいです。どちらも、もし希望条件が決まっていれば、地域の不動産会社に相談してみるのがいいでしょう。

しかし、もともと取引事例が非常に少ないため、そもそも建物を建てられるか、所有者がどこにいるか、などを調べて地主にあたるなどの手間が必要なので、希望にあう物件が見つかるかどうかは難しいところです。住宅情報サイトに出ている物件を素直に探すのが近道です。

もし、特定の物件で気になるものがあるようでしたら、その物件の周辺にある不動産会社に聞いてみましょう。売りにでていなくても、オーナーに、購入希望者がいるということを伝えてもらうなどの交渉は可能です。多くの場合、日々の生活をする住宅ではなく、セカンドハウスとして所有していたり、貸しに出していたりするので、交渉に応じてくれるケースもあります」

■どういう人がどういう目的で希望することが多いですか?
「山の、特に斜面に建っている家というのは、言わずもがなですが見晴らしが良いです。周囲に住宅もないので、鳥の鳴き声、虫の音、木々の揺れる音……自然を思う存分満喫できます。江戸時代のお城が山の上に建っていたり、いわゆる高級住宅街といわれるお屋敷街が高台にあったりしますが、見晴らしのよい場所から街を眼下に暮らすことは、一種のステイタスと捉える人も多いのです。

取引の事例ですと、企業の重役、社長といったビジネスエグゼクティブや、医師、弁護士、芸能関係者といった高額所得者が、週末や時間のあるときにゆっくり過ごすセカンドハウスとして求められるケースが多いです。
ほかにも、小説家、画家、音楽家といった、周囲の雑音から離れて創作に没頭したいという人が、仕事場として求めるケースもありました」

■不便さやデメリットはありますか?
「住宅街ではないですから、買い物施設は期待できません。多くの場合、街で買い物をしてきて、それを滞在期間中は使う、という場合が多いです。
インフラ面も、下水道を備えておらず、トイレが汲み取り式だったりと、市街地とはちがった生活の不便がある場合も。メンテナンスは、あまり頻繁に滞在しない場合、自然のなかなので、腐蝕や虫の発生、草木の侵蝕などが、市街地よりも多いです。その処理を定期的に行わなければなりません。ひさびさに家に入ったら、たぬきが住み着いていた、なんてこともあります」

見た目は素敵ですが、なかなかに大変なのですね。それでも憧れを叶えたいという方は、果敢に不動産会社にご相談を!

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