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ベンチャー企業経営者も「社畜」に警戒感 放置すると会社が「次のステージ」に行けなくなる

英雄は、強大な敵に立ち向かうが……

英雄は、強大な敵に立ち向かうが……

米国のストーリー共有サイト「Medium」に、ある男性プログラマーが書いた「ワーカホリック体験記」とも言えるエントリーが話題になっている。

この男性は、深夜残業や週末労働で「自分がやらなければ」という使命感にかられ、目標を達成したときに「自分は会社の英雄だ」と思った。しかし、次第に他人にも「全時間」を仕事につぎ込むよう要求し始め、それが組織に大きな弊害を生むに至ってしまったという。

私生活への悪影響は「会社にも及ぶ」と指摘

部下に求める仕事量が増えると、チームは深夜や週末も稼働することになる。しかし深夜の仕事は質が保てないことが多く、このプログラマーもコードのエラーが頻発し、結局メンバーが何日もかけてバグの修正や検証をするハメになった。

週末に緊急の呼び出しが来ることも、メンバーの精神面に最悪な事態を招く。パーティーやデートを緊急の仕事でキャンセルする事態が連続すると、やがて「燃え尽き」の状態になる。実際、この筆者もそうした状況を経験したそうだ。

「私生活への妨害と緊急呼び出しの多い、長時間労働が根付いた会社文化に対する懸念が強まりました。私生活に悪影響が出れば、あなた自身、そして会社に対しても悪影響が及ぶのです」

本来、頼りになる「英雄」が、いつしか組織全体に「負の影響を生んでいる習慣」を根付かせてしまうということだ。ここで言われる英雄とは、会社に人生のすべてをつぎ込む「社畜」と日本的に言い換えてもいいかもしれない。

このエントリーは、日本のWebメディアのライフハッカーが「『会社の英雄』になってどうするの?」という記事に翻訳し、多くのビジネスパーソンたちがツイッターやNewspicksなどでコメントをあげている。

記事の文脈から「これは身につまされる」「自戒を込めてシェア」など働きすぎを諌める声も多いが、意外に多いのは一時的にでも「英雄」「社畜」になることを肯定する意見だ。

「こういう経験も必要だと思います。自分の限界に挑戦するというか、終わった時の達成感もなかなかいいもので(笑)」

「ある時期に『認められたい』と思ってハチャメチャに働くことも大事だと思いますよ」

経営者「残業しない奴が悪みたいな風土は変えたい」

しかし経営者や株主からは、「英雄」や「社畜」の働き方は、中長期的な組織の成長につながりにくいという意見もある。ベンチャーキャピタル勤務のNewspicksユーザーは、

「企業側から見れば、従業員が定着しない企業となるため、一定規模までは大きくなれるが、その次のステージに上がることが非常に困難となる」

と指摘する。働く本人の気分がいくらよくても、ワーカホリックの放置は成長阻害要因になりかねないということだ。とはいえ、エネルギッシュに仕事をする人のパワーなくして、会社は成長しない。nanapi創業者の「けんすう」こと古川健介氏は、

「仕事がきつすぎるのは問題。本気で働きたい、成長したい人はサブの仕事を持つほうが全体最適になるんじゃないかと最近考えてる」

とユニークな提案をする。ひとつの会社でエネルギーがあり余る人は、別の仕事を持ってその力を注ぎ込めば弊害が減るという考え方だ。他の経営者からも、

「残業が偉いとか残業しない奴が悪みたいな風土は変えたいところ。普段は残業否定しているのに自分が残業止む無くなると、先に帰る社員を許せなくなる根性も」(ベンチャー企業・ファウンダー)

「時間をかけないとできない仕事を請け負ってしまっている時点で、マネジメントが機能していない証拠」(ITベンチャー・取締役)

など、「暴走する英雄」への警戒感を示すコメントがあがっている。

マネジメント領域でのイノベーションに期待

古いタイプの経営者からすれば、仕事を丸投げできる「英雄」は重宝する存在だ。自分が叶えたい夢が、どんどん実行されていくからだ。

いま若者たちから「ブラック企業の代表」と批判されるワタミやゼンショー、不二ビューティ(たかの友梨)の創業者も、人一倍努力して会社を大きくし、部下たちにも同じ努力を求め、それに耐えられない人たちを排除してきたに違いない。

しかしいまどきのベンチャーの経営者は、そのような無闇なハードワーカーに頼る企業風土や組織運営手法には、変革の余地があると思っているようだ。イノベーションがIT技術だけでなく、マネジメントの分野にも及んできたのだとすれば歓迎したい。

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