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円安苦の中小企業 電気使用量監視・警告の涙ぐましい努力も

 安倍晋三首相は2012年の総選挙前から自民党総裁として「円高は大問題だ」と繰り返し、首相の座に就いた後は元財務官の黒田東彦氏を日銀総裁に据え、量的緩和によって円安を後押ししてきた。

 それにより2012年後半には1ドル=80円台だった円相場は10月1日には1ドル=110円を記録するなど、急速に円安が進んだ。

 だが、円安によって輸出を伸ばすというアベノミクスの思惑は完全に外れ、貿易赤字は過去最大の数字を更新し続けている。しかもその円安が中小企業の収支を圧迫する主たる要因となっている。

 茨城県日立市でICタグなどの製造販売を行なうスターエンジニアリングの星勝治・会長がいう。

「材料の多くを日本から輸出して海外の関連会社で製造し、製品を輸入する形を取っているから、円安は利益を削っていく。とりわけ為替変動が激しいと、製品を運んでいる途中で支払い額が変わってしまうから計算が立たない。105円くらいで安定してくれればいいけど、110円になれば厳しい」

 同社の工場では「電気使用料を監視し、オーバーしたらアラームが鳴るようにしている」(星会長)など、涙ぐましい節約をしている。

※週刊ポスト2014年11月7日号

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