iPhoneは2007年に初代モデルが登場。昨年10月に発売された4Sで人気を不動のものとした。 iPhone5は、前モデルからどう進化したのか。ITジャーナリストの石川温氏が語る。
「一言でいえば、画面を大型化しながらも薄型軽量化を実現したこと。女性でも持ちやすく、片手でも操作しやすい従来機種の良さを生かすために、幅を変更しなかった。機種変更する人に違和感を与えない点は評価できる」
サイズは縦123.8ミリ、横58.6ミリ、厚さは7.6ミリ。重さは4Sより28グラム軽い112グラム。厚みも1.7ミリ減でさらに薄くなっている。背面の素材にはアルミが採用されており、これまでのiPhoneとは一線を画す印象だ。以前のデザインよりもかなり縦長になっており、高さは8.6ミリアップ(幅は変わらず)。画面については4インチディスプレイで、アイコン表示が一列分増えている。
一方で画面は大型化し、画質も向上した。
「動画を視聴する際、これまで入っていた画面の上下の黒い帯がなくなり、映画がフルスクリーンで表示できるので、迫力のある映像が楽しめます」(石川氏)
仕事のスケジュール管理にスマホを活用する30代会社員はこう話す。
「横画面が広くなったのでカレンダー表示や表計算のアプリ(対応しているソフト)の使い勝手がよくなった。アプリの起動も速くなって快適ですよ」
ユーザーから最も注目されたものが「テザリング」という機能だ。スマホを無線LANルーター(中継機器)として利用し、パソコン、ゲーム機をインターネットに繋げることができる。iPhoneを国内で販売するソフトバンク、auとも、オプション機能として月額525円で利用できる(2年間無料、ソフトバンクは2013年1月から利用開始)。
「外回りの営業マンはもちろん、たまにしかない出張の為にわざわざ無線モバイルツールを購入しなくても、iPhoneの電波をPCに繋げばインターネットにアクセスできるので、利便性の高い機能です」(石川氏)
石川氏は、iPhone5が「LTE」という高速通信網に対応しているがゆえに、テザリング利用の幅はさらに広がるはずと指摘する。
「PCでネットを閲覧する際、瞬時にページがサクサク変わるのでストレスを感じない。場所を選ばずネットに接続でき、しかも高速で検索が可能になるため、仕事の能率アップに絶大な武器となる」
※週刊ポスト2012年10月12日号