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連載今週の住活トピック
やまくみさん正方形
山本 久美子
2014年11月26日 (水)

不動産のプロが選ぶ、穴場な街、値上がりしそうな街とは?

不動産のプロが選ぶ、穴場な街、値上がりしそうな街とは?(写真:iStock / thinkstock)
写真:iStock / thinkstock
【今週の住活トピック】
「2014年版 不動産のプロがおススメする街ランキング 関東版」を発表/リクルート住まいカンパニー
http://www.recruit-sumai.co.jp/press/141112_ranking2014%E3%80%90pro%E3%80%91.pdf

リクルート住まいカンパニーは、関東在住の「不動産のプロフェッショナル」へのアンケートによる街ランキングを発表した。実は穴場な街に「中野」が、今後値上がりしそうな街に「品川」が1位に挙がった。その理由を見ていこう。

プロも一般層も総合ランキングでは「吉祥寺」がトップだが、選ぶ視点に違いも

アンケート対象となった「不動産のプロ」とは、2011年から現在までの間に1年以上、住宅に関する業務に携わったことがあり、住むという視点においての街選びに際して、友人や知人にアドバイスできる業務知識が 「非常にある」「まあある」と答えた人という定義だ。504人のプロがそれぞれのテーマごとに、駅名を最大3つまで回答した票数をカウントしている。

プロがおススメする街(駅)の総合ランキングでは、ダントツ1位が吉祥寺で、2位が武蔵小杉、同率3位が品川と中野となっている。吉祥寺は、商業施設の充実や交通の利便性、武蔵野の自然などのバランスの良さが評価されたことに加え、バス便なら手が届く価格帯といった点も指摘された。

武蔵小杉は、再開発が進んで地価上昇トレンドにあること。品川は、再開発に加え、空港や新幹線の交通アクセスやリニア新幹線始発、品川・田町間の新駅構想などが評価された。中野は、北口の大規模開発で大学や企業が誘致され、人口が増えたことなどが評価された。

一方、一般消費者を対象にアンケートした「2014年版 みんなが選んだ住みたい街ランキング 関東版」では、1位が吉祥寺、2位が恵比寿、3位が池袋だった。吉祥寺がイチオシなのは、プロも一般層も同じだ。

違いが見られるのは、一般層が「住みたい街」の上位に挙げた自由が丘と表参道が、プロでは「おススメの街」の上位には挙がっていない点。逆に、一般層では11位以下の中野、三鷹、立川が、プロ「おススメの街」の上位に挙がっている。

プロのランキングでは、中野は「実は穴場な街」、三鷹は「子育て環境に恵まれた街」、立川は「今後値上がりしそうな街」の上位にランクインしている。イメージはよいが、すでに価格が高止まりしている自由が丘や表参道より、開発が進んで利便性が向上する街や暮らしやすい街が上位に入る傾向が強いといえそうだ。

【画像1】プロが総合的におススメする街(出典:リクルート住まいカンパニー「2014年版 不動産のプロがおススメする街ランキング 関東版」)

【画像1】プロが総合的におススメする街(出典:リクルート住まいカンパニー「2014年版 不動産のプロがおススメする街ランキング 関東版」)

プロが選ぶ「実は穴場な街」、「今後、値上がりしそうな街」の上位はどこ?

調査結果のなかで、穴場な街と値上がりしそうな街について詳しく見てみよう。

穴場な街とは、「複数路線が乗り入れ、起点となるターミナル駅まで10分程度にも関わらず、物件価格が安く暮らしやすい、実は穴場な街(駅)」としてアンケートを行っている。1位は中野、2位は北千住、3位は赤羽、同率4位は池袋と武蔵小杉といった街が上位にランクインした。

ほかにも、和光市や蒲田、西日暮里などがトップ10に入るなど、一般層の「住みたい街」ランキングでは、あまり上位に挙がらない街が多くランクインしたのが、大きな注目点だ。

1位の中野は、新宿に近く始発もあること、商店街が充実しているわりに家賃水準が高くないことが評価された。2位の北千住(総合15位)は、複数路線乗り入れで始発終電が多いこと、駅前再開発で街が発展しているが、物価が安いことなどが評価された。3位の赤羽(総合15位)は、電車や車のアクセスのよさ、都心に近いのに隣接する埼玉県側と物件価格があまり変わらないことなどが評価された。

【画像2】プロが選ぶ「実は穴場な街」(出典:リクルート住まいカンパニー「2014年版 不動産のプロがおススメする街ランキング 関東版」)

【画像2】プロが選ぶ「実は穴場な街」(出典:リクルート住まいカンパニー「2014年版 不動産のプロがおススメする街ランキング 関東版」)

次に、「今後注目が集まり、値上がりしそうな街(駅)」については、1位に品川、2位に武蔵小杉、同率3位に田町と豊洲、5位に渋谷がランクインした。リクルート住まいカンパニーでは、「キーワードは『新駅』『オリンピック』『再開発』」と見ている。

1位の品川と3位の田町は、リニア新幹線や品川・田町間の新駅が予定され、オリンピックの交通拠点として開発が進むことなどが注目されている。職住近接ができる街という指摘もある。同率3位の豊洲は、オリンピックの関連施設に近く、築地市場の移転などで開発が進み、人口も増えることが注目されている。5位の渋谷も、東急電鉄などによる駅周辺の再開発が注目されている。

6位以下も同様で、いずれも再開発が進むことで、利便性が高まり人口が増えるなど、にぎわいが創出されていく街という共通点があり、値上がりが期待できると見られているわけだ。

【画像3】プロが選ぶ「今後、値上がりしそうな街」(出典:リクルート住まいカンパニー「2014年版 不動産のプロがおススメする街ランキング 関東版」)

【画像3】プロが選ぶ「今後、値上がりしそうな街」(出典:リクルート住まいカンパニー「2014年版 不動産のプロがおススメする街ランキング 関東版」)

交通利便性が高く、再開発などで成長している街を選んでいるという点では、不動産のプロも一般消費者と同様の駅をおススメする結果となった。しかし、不動産のプロとして、一般消費者よりも地価や住宅価格の相場の変化などに敏感という背景から、「穴場の街」などで一般消費者があまり注目していない街が上位に挙がるといった側面も見られた。

「見方を変えれば、これまで注目していなかった街にも魅力がある」ことを知る機会にもなるだろう。今回のランキング上位の街だけに目を奪われるのではなく、自分なりに新たな見方でもう一度街を見直して、自分の希望と予算に合う街選びをするきっかけになるとよいと思う。

●一般消費者の住みたい街ランキングについては、「みんなが選んだ『住みたい街ランキング』2014年 関東版を発表!」を参照
HP:https://suumo.jp/journal/2014/03/05/59081/
●街を知る~次にくる住みたい街はここだっ!(SUUMO)
HP:http://suumo.jp/article/oyakudachi/oyaku/oyaku_category/iesagashi/machi/
https://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2015/05/97a3e7d658abcc014cf75ce60ff9c1b1.jpg
連載 今週の住活トピック 住宅ジャーナリストが住まいの最新ニュースを紹介&解説する連載。毎週水曜更新の「今週の住活トピック」。
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