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連載今週の住活トピック
やまくみさん正方形
山本 久美子
2013年9月25日 (水)

敬老の日なんて関係ない。アクティブなシニアは住まいにもこだわる

写真: iStock / thinkstock
写真: iStock / thinkstock
【今週の住活トピック】
2013年版 「敬老の日」にあわせた65歳以上の意識調査/(株)シニアコム

http://www.seniorcom.co.jp/pdf/20130912_keirou.pdf
シニア世代の住まいに関する意識調査/三井不動産リアルティ(株)
http://corp.mf-realty.jp/news/2013/20130912_01.html

9月16日の「敬老の日」にちなんだ、シニア層を対象とした調査結果の公表が相次いだ。今回は4つの調査を通して、シニア層の特徴を見ていくとともに、住まいの選択についても見ていくことにしよう。

日本では4人に1人が65歳以上と高齢化が進んでいる

総務省が、「敬老の日」にちなんで、「統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)」を公表した。これによると、高齢者は過去最高の3186万人となり、総人口に占める割合は初めて25%に達した。日本では、4人に1人が65歳以上という時代を迎えたことになる。

高齢者の就業者数は、595万人と過去最多。総就業者数のうち高齢者の占める割合は9.5%を占め、仕事の担い手としても影響力を増しているといっていいだろう。
また、国内旅行や海外旅行などのパック旅行費やゴルフプレー費などは、60代で最も多くなっていること、健康保持用摂取品は70歳以上で最も多くなっていることから、総務省では「活動的な60歳代、より健康に気を配る70歳以上」と位置付けている。

次に、東京都が公表した、平成25年「敬老の日にちなんだ東京都の高齢者人口(推計)」の概要を見ていこう。東京都の高齢者(65歳以上)人口は280.4万人で、総人口に占める高齢者の割合(高齢化率)は21.9%と過去最高を更新した。その理由として、団塊世代が65歳を迎えたことで、高齢化がさらに進展したとしている。

地域別にみると、23区の高齢者人口は 186.8万人で高齢化率は21.5%、都下(市町村部)の高齢者人口は 93.5万人で高齢化率は22.7%となっており、高齢化率は都下が23区を上回っている。これは、郊外のニュータウンに団塊世代が多く住んでおり、子どもが都心部などに転出した後も住み続けているからだと思われる。

認知年齢が実年齢より若いシニア層、75歳を境に傾向が分かれる場合も

(株)シニアコムが公表した、「2013 年版 敬老の日にあわせた 65 歳以上の意識調査」で、シニア層の年齢に対する意識を見ていこう。まず、「敬老の日」が自分たち向けだと思うかという問いには、「そう思う/ややそう思う」と答えた割合は約12%にとどまり、「そう思わない/あまりそう思わない」が約69%と圧倒的に多いことが分かる。

同社はその理由として、「認知年齢の若さ」を挙げる。気持ちの上で自身が認識している年齢(認知年齢)は、大半が実年齢より「1~5 歳/6~10 歳若い」ため、シニア層が自分たちのことを高齢者と意識しないと見る。
また、「シルバーシート」を譲られた経験の有無などから、
・65-74 歳ではまだ自身が若い意識から、座席を譲られることにショックを受ける
・75 歳以上では自身が年配者だと受け入れ、座席を譲られる行為に感謝して座る
など、75歳を境に傾向が分かれると分析している。

シニアライフに向けた住み替えは、6割強が定年前に実施

三井不動産リアルティ(株)は、第5弾となる「シニア世代の住まいに関する意識調査」の結果を公表した。この調査は、定年後のシニアライフに向けて、50歳以降に住み替え(持ち家から持ち家)を行った夫婦と50歳以降に住まいの大規模リフォームを行った夫婦(計521人)を対象にしたもので、年齢構成は、50代が22%、60代が51%、70歳以上が27%だった。

シニアライフに向けて住み替えを行った人の90.3%、リフォームを行った人の86.9%が満足(非常に満足/まあまあ満足)と回答しており、満足度が高いのが特徴だ。また、その費用として、住み替えでは平均2497万円、リフォームで平均717万円かかっているが、「コストに見合った住まいを手に入れられたか」という問いには、満足という回答が、費用が高額な住み替え(76.9%)のほうがリフォーム(73.6%)より高い結果となった。

シニアライフの住まいについて考え始めた年齢は、住み替えで平均 55.4 歳、リフォームで平均 58.0 歳で、実際に住み替えたのは平均 58.9 歳、リフォームしたのは平均 61.0 歳だった。特に住み替えでは、6 割を超える(61.6%)人が定年前(60 歳未満)に実際に住み替えを行っていた。

【図1】シニアライフに向けた、実際に住み替え、リフォームを行った年齢 (出典:三井不動産リアルティ(株) 「シニア世代の住まいに関する意識調査」)

【図1】シニアライフに向けた、実際に住み替え、リフォームを行った年齢 (出典:三井不動産リアルティ(株) 「シニア世代の住まいに関する意識調査」)

シニアライフを考慮した住まいを選択することが満足度を高める

敬老の日にちなんだ、シニア層を対象とした調査結果を見ていくと、日本の社会が急速に高齢化に向かっている一方、ひとくちにシニアといっても、まだまだアクティブな層が相当数いることが分かる。仕事を継続したり、パック旅行やゴルフなどをしたり、積極的に住み替えやリフォームを行ったりといったアクティブなシニアには「老後」という言葉は似合わない。

住まいの選択でいえば、子どもが巣立った後のシニアライフを50代のうちから検討し、定年前に住み替えやリフォームを行い、生活の基盤を整えている。満足度が高いというのは、定年後の暮らし方を十分検討したうえで、利便性を求めて住み替えたり、バリアフリーや部屋数を減らすリフォームをしたりといった準備をした結果と言っていいだろう。

「敬老の日」の主役は自分だと思う高齢者になるまでの期間、アクティブに暮らしを楽しむためには、その基盤となる住まいの選択を積極的に行う必要があるだろう。

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