マネーと制度
連載今週の住活トピック
やまくみさん正方形
山本 久美子
2014年7月23日 (水)

あの「フラット35」も追随!サービスが充実する住宅ローンの繰り上げ返済

あの「フラット35」も追随!サービスが充実する住宅ローンの繰り上げ返済(写真:photojim/ 123RF)
写真:photojim / 123RF
【今週の住活トピック】
平成26年7月29日(火)より【フラット35(買取型)】や機構(旧公庫)融資の一部繰上返済がインターネットで10万円以上から可能になります/住宅金融支援機構
http://www.jhf.go.jp/topics/topics_20140627.html

住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携する、全期間固定型の住宅ローン「フラット35」。住宅金融支援機構のインターネットサービス「住・My Note」の利用者に限り、繰り上げ返済がしやすくなる。

いまや住宅ローンの返済中に繰り上げ返済するというのは、当たり前のようになっている。今回は、フラット35の変更点と銀行などの民間金融機関の繰り上げ返済の動向について説明しよう。

まだまだ「こまめな繰り上げ返済」が難しいフラット35

住宅ローンの繰り上げ返済をしようという場合、注意点がいくつかある。
(1)繰り上げ返済の最低金額
(2)繰り上げ返済の手数料
(3)繰り上げ返済の手続き方法
この3点をしっかり確認することだ。

「フラット35」の場合で見ていくと、(2)の手数料は無料だが、(1)の最低金額は100万円以上からとなっていた。(3)の手続きでは、返済中の金融機関の店頭に1カ月前までに申し込みをし、毎月返済額が引き落とされる日にのみ繰り上げ返済ができる仕組みになっている。
つまり、ある程度まとまった額を数年おきに繰り上げ返済するといったことを想定しているわけだ。

このような仕組みの繰り上げ返済だが、今よりもしやすくするために、金融機関の店頭ではなくインターネットを利用した場合は、最低金額10万円以上から可能にするというのが今回の発表。既にフラット35を借りていて、繰り上げ返済を頻繁に行いたい人には朗報だろう。

しかし、1カ月前までに申し込みをすることや毎月の返済日にのみ返済できることに変わりはなく、2カ月以上連続して申し込むことはできない(最低でも1カ月おき)。こまめに繰り上げ返済したい人には、「フラット35」は、手数料は無料ではあるものの、手続きなどでまだまだ使い勝手がいいとはいえない面がある。

手数料無料、随時手続き可能、少額から返済できる住宅ローンも多い

かつては、銀行で繰り上げ返済をする際に手数料がかかるのは当たり前だった。
今でも、メガバンクの多くは窓口での繰り上げ返済で手数料が必要となる。例えば、三菱東京UFJ銀行や三井住友銀行で1万6200円かかるなど。しかし、同じメガバンクでも、自宅のインターネットで繰り上げ返済する場合なら、手数料は無料になっている。

一方、ソニー銀行や住信SBIネット銀行などのインターネット専業の銀行では、繰り上げ返済もインターネットで行う。手数料は無料で、随時受け付けており、少額(ソニー銀行は1万円~、住信SBIネット銀行は1円~)からでも繰り上げ返済ができる。

また、新生銀行のスマート返済(自動繰上返済)を利用すると、手続きを行わなくても自動的に繰り上げ返済が行われる。普通預金で一定額をあらかじめ指定しておき、預金残高が指定した額を上回った場合に、その上回った額を自動的に繰り上げ返済する仕組みだ。

なお、ここでいっている「繰り上げ返済」は、返済途中にローン残高の一部を返済する「一部繰り上げ返済」を指している。返済途中でローン残高の全額を返済して完済する「全額繰り上げ返済」の場合は、通常は手数料が必要になる。

繰り上げ返済のしやすさも住宅ローン選びの検討材料に

このように、住宅ローンでは繰り上げ返済しやすいようにサービスが拡充される傾向にある。
毎月返済額を抑えるためにできるだけ返済期間を長くして、返済途中に繰り上げ返済をして期間を短縮しようという人も多い。繰り上げ返済のしやすさは、住宅ローンを選ぶ際の検討材料のひとつになるだろう。

ただし、繰り上げ返済の条件は金融機関によって細かく異なる。例えば、「返済期間短縮型」(繰り上げ返済した額を使って返済期間を短縮する方法。ほかに、毎月の返済額を軽減する方法もある)しか対応していなかったり、毎月返済額以上でないと返済期間短縮型の繰り上げ返済ができなかったりといったこともある。

住宅ローンを借りる際の商品説明資料などには、こうした繰り上げ返済の細かい条件までは書かれていないことが多い。実際に繰り上げ返済しようとする段階になって気づいても遅いということも起こりうる。

自分がどういった繰り上げ返済をしようと考えているのかしっかりイメージして、そうした返済方法が可能かどうか、事前に金融機関に確認しておくことも大切だ。住宅ローンは金利だけで選ぶのではなく、返済中のマネーコントロールも考えて、自分に合うものを選ぶべきだろう。

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