2014/05/30 17:01

"フェスの常連"も目前!!! ジャムポップ・ロック・バンド、fulaが両A面シングルをリリース!

以前から「"フェスの常連"を目指す」と公言しているfula。そんな彼らが夏フェス直前のこの時期にリリースということはもちろん、2014年夏をともにするファンへのプレゼントであり、フェスの場ではじめてfulaを目撃する音楽好きたちを射止めるべくつくられた意欲作であることは間違いないだろう。そんな今作には、快晴の野外がピッタリなサーフ・ポップ「Apology Man」に、メロウなギター・リフが特徴的なバラード「Night Adventure」を収録。音楽評論家、岡村詩野による音楽史的探究心を刺激するレヴューとともにお楽しみください。

fula / Apology Man/Night Adventure
【配信価格】
wav(16bit/44.1kHz)、mp3 単曲 250円 / まとめ購入 500円

【Track List】
01. Apology Man / 02.Night Adventure

ポップなものへとトランスレートすることが自分たちの役目だと高らかに宣言しているかのようだ

90年代半ばあたりから00年代にかけて、ジャム・バンドがひとつのキーワードだった時期があった。ジャズ、ファンク、カントリー、レゲエなどの要素を消化させながら、あくまで即興性を軸に長尺の演奏が繰り広げられるスケールの大きなインストゥルメンタル系のバンド。グレイトフル・デッドの再評価にも後押しされながら、フィッシュ、ギャラクティック、ストリング・チーズ・インシデント、あるいはメデスキ・マーティン&ウッドといったニューヨークのアンダーグラウンド・ジャズ・シーンで活躍するようなバンドも巻き込み、日本でもフェスやイベントが開催されるなど一大ブームになっていたことは記憶に新しいはずだ。かなり広義に解釈すればジャック・ジョンソン、日本のキャラバンあたりともシンクロする部分があるだろう。

今では、例えばテデスキ・トラックス・バンドなどに受け継がれているし、上記のバンドもその多くが継続して活躍するなどブームを超えて定着した感もあるわけだが、日本でもどうやら新しい世代の中で形を変えて育っていっているようだ。このfulaという4人組から感じ取ることができるのは、ジャム・バンドのネクスト・ジェネレーション… というと安直かもしれないが、ジャム・セッションそのものをコンパクトなポップ・ミュージックに変換させようする作業。海外産ジャム・バンドの多くが尺を意識せずにインタープレイで曲を展開するようなスリルが魅力だが、2010年に結成され吉祥寺を拠点に活動するこの4人組の場合は、少なくともスタジオ録音作品に関して曲そのものは短くカジュアル、フックの効いたメロディがどの曲にも行き届いていることが特徴だ。ニュー・シングル『Apology Man/Night Adventure』も3~5分程度で曲の構成は決して複雑ではないし、爽やかでコンフォタブルなギター・リフと穏やかな風合いのヴォーカルを生かしたブライトな曲調も、これぞポップ・ソングと言い切ってもいいくらいに人なつこく親しみやすい。まるでジャム・バンド・スタイルの音楽をあくまでポップなものへとトランスレートすることが自分たちの役目だと高らかに宣言しているかのようだ。

「apologyman」MV
「apologyman」MV

ところで、2曲目「Night Adventure」をそのまま聴き続けていると約3分の無音後、8分過ぎあたりに「Apology Man」の別ヴァージョンが聞こえてくる。90年代あたりのちょっと懐かしいゲーム・ミュージックを思わせるチープな電子音によるそのインスト・ヴァージョンを聴いていると、このバンドがレゲエやサーフ・ミュージックなどの要素に加え、こうしたゲーム音楽や、もしかするとボーカロイド、アニメ音楽などもジャミングしているのかもしれない、などと想像してしまう。そんなところも日本的なジャム・バンド新世代らしさかもしれない。

fulaの過去作品はこちら

fula / Safari!

2013年にリリースされた、fula初の全国流通盤となるミニ・アルバム。野外フェスや夏っぽい感じを意識してつくられた今作は、開放的で心躍る6曲入り。ジャム・バンド以降の流れるようなグルーヴィ・アンサンブルに、色どり豊かなメロディ・センス、さらにほのかな南国フレーヴァーも加わったメロウ・ポップスが炸裂。

>>メンバー・インタヴューはこちら

fula / 三日月色の海と夕凪かえり道

メンバーの私生活の色々を経て、ついに出された2ndミニ・アルバム! ドラムの高木が「俺のぱっとしないバンド人生の中でも一番の最高傑作」と豪語する納得のオーガニックとメタボリックを、まさに「ジャム」でまとめた仕上がり。前作とは正反対に夏のイメージを全面に出した今作。海に飛び込みたくなるサーフ&レゲエ調の「mayonakabeach」、聴けば聴くほど味が出る真夏のスルメ曲「赤い自転車」、メンバーの愛する某映画のことを考えながら演奏した「SW」で〆。それらを四季折々の情景を浮かばせるジャミーなナンバー「mother」から是非聴き始めてください。

fula / この小さな部屋が銀河にかわるまで

2011年にライヴ会場にて発売開始された最初のミニ・アルバム。宇宙空間を莫大なものとしてではなく、ミニマルな視点でテーマにした3曲入り。現在とはちょっと雰囲気の違うダブ&エモな楽曲「may so」や、オーガニックかつポップな冬の歌「オリオン珈琲」、表題曲のクラシカルなミディアム・バラード「この小さな部屋が銀河にかわるまで」はピアノが入っているので、ライヴと聴き比べてみるのも面白いかも。

>>上記2作品の特集はこちら

LIVE INFO

Rock'n Roll Birthday × 踊ロック
2014年6月7日(土) @神戸RAT

SAKAE SP-RING 2014
2014年6月7日(土)〜8(日)@愛知県名古屋市栄のライヴハウス・クラブ

Rocket Dash Records PRESENTS GFB'14(つくばロックフェス)前夜祭
2014年6月14日(土)@水戸SONIC

エロフェス インストアライヴ
2014年7月5日(土)@ タワーレコード新宿店 7F

fula presents “Apology Man / Night Adventure Release Party!! in TOKYO"
2014年7月6日(日)@渋谷TSUTAYA O-nest
出演 : fula / おとぎ話 / SOUR

fula presents “Apology Man / Night Adventure Release Party!! in OSAKA"
2014年8月30日(土)@梅田Shangri-La
出演 : fula / DENIMS and more...

PROFILE

fala(ふら)

fula(ふら)は日本の4人組バンド。FunLandRyCreationレーベル所属。メンバー構成は字引佑麿(Vo&Gt)、石川ユウイチ(Gt&Cho)、安本佑治(Ba&Cho)、他一名。サッカー・チーム所属時に意気投合し、今に至る。

高木健(Dr&Cho)がライヴ中にカロリーを消費しまくり汗だくになることから、
「オーガニックポップロック界のローションプレイオプションコース」
などとは揶揄されない。

ジャムを基調にした野外で聴きたくなる開放感のある楽曲に、あたたかい歌声を乗せるプレー・スタイル。サーフ、ダンス、ジャズ、レゲエ、アフロビート、はたまたメタル、クラシック。それらをポップにまとめあげ、聴く人を躍らせ、踊らせる。小洒落たアンサンブルの合間から時折顔を出す土臭いリズムが笑顔を呼び、優しさ時々エモーショナルな歌声が泣きを誘う。

専ら「フェスの常連」を目指すfulaであるが、One Music Camp 2013, MINAMI WHEEL 2013出演を皮切りに、いよいよ数多のフェスへの出演が期待できそうなので、fulaファンは各自、野外フェス行きの持ち物確認をしてほしい。

>>fula Official HP
>>fula Official Twitter

[レヴュー] fula

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