写真:View Stock / thinkstock
芸術の秋を迎え、今年も多くの文化イベントが開催されている。例えば京都の寺社では特別拝観が始まり、銀閣寺では普段は公開されていない与謝蕪村や池大雅の襖絵(ふすまえ)を目にすることができる。
しかしわが家ときたら、変わりばえしないいつものふすま……、でも襖絵なんて描けないし。ならば、このふすまに壁紙を貼ってリメイクしたら、部屋の雰囲気をガラリと変えることができるのでは? そこで、ネットで人気の壁紙屋本舗の林さんに、ふすまをリメイクするときのコツを伺ってみた。
「まず、ふすまの種類を見分けることが重要です。手で押さえて障子の桟のようなものがあれば本ふすま。叩くと木の音がするのが戸ふすまで、これが一番リフォームしやすいです。そのほかに段ボールふすまと発泡スチロールふすまがあり、引き手をはずして芯材を見れば区別できます。壁紙を本ふすまと戸ふすまに貼る場合はのりか両面テープで、段ボールふすまと発泡スチロールふすまに貼る場合は、のりで貼るとふすまが反ってしまうので両面テープを使います」
なるほど、ふすまにもそんなに種類があるのか! また林さんによると、壁紙には国産と輸入ものがあるそうだ。
「国産壁紙は92cm幅でそのまま1枚を貼ればよいので簡単。輸入壁紙は52cm幅なので2枚用意し、ふすまに貼る時に柄を合わせる必要がありますが難しくはありません」
では、ふすまに壁紙を貼るときに注意することは?
「きれいに貼るには、壁紙はふすまより大きめに用意し、上下左右をはみ出させて貼り、余った部分を切りましょう。また、壁紙にのりを塗るときは多めに! のりが少ないとふすまにつけたときにすぐくっついてしまい、ずらそうとしても動きません。のり付きの壁紙を使うと、フィルムをはがして貼るだけなので手軽ですよ」
のり付きの壁紙もあるなんて、これなら不器用な自分でもチャレンジできそう。次に、壁紙の選び方のポイントも聞いてみた。
「和室のふすまに貼る場合、完全に洋室にするのか、和モダンにするのか、テイストを定めておくことです。洋室にするならダマスク柄が人気で、ふすまの枠を塗ったり、引き手を変えたりすると本格的。和モダンなら和紙っぽい素材の壁紙や色みの面白いものを使って、部屋の一部だけ別の壁紙にする“アクセントクロス”がおすすめです」
最近は、印刷技術の進歩で一見、本物にしか見えないリアルな本棚やれんが、木目などのフェイク柄や、定番のナチュラル系、シンプルでモダンな北欧系の壁紙が人気だそう。最後にこんなアドバイスをいただいた。
「柄はつい消去法で選びがちだけど、ぜひビビッとくるものを。もともと日本では、年末に障子を貼り替えて気持ちを入れ替えたものです。同じように、気軽な貼り替えで気分を変えるのもひとつの方法ではないでしょうか」
壁紙を貼れない砂壁や土壁の部屋もふすま紙を変えるとアクセントになるとのことなので、部屋の印象を変えたいという方は、この秋、ふすまのリメイクに挑戦してみてはいかがだろうか。