近年、キッチン用品の中でも人気のホーロー容器。実は紀元前14世紀頃のツタンカーメンの時代から使われていたという長い歴史があるが、キッチン用品に使われるようになったのはここ130年ほど。それでも130年とは長いものだ。なぜそれほど重宝されてきたのだろうか?
そこで今回は、長い歴史を持つホーロー容器について、ホーロー製品の製造元で、創業80年を迎えた野田琺瑯株式会社の野田さんに、詳しくお話を伺った。
そもそも、ホーローってどんなもの?
「ホーローは、鉄にガラス質の釉薬を焼きつけた材質です。表面がガラス質なので、酸や塩分があるものにも使えます。保存する食材による化学変化がない、においうつりがしにくい、洗いやすいので衛生的に使えるという特徴があります。また、直火(ガス火)やオーブンにかけることも可能です」
なるほど。“においうつりがしにくく、直火にかけることも可能”ということは、ジャムなどをつくるときなどには重宝しそうだ。では、ほかの素材と比べて、ホーローのもつメリットはどんなところなのだろうか?
「素地が鉄ですので冷蔵庫に入れるとよく冷え、保存する食材を変化させにくいという利点があります。さらに鉄とガラスのみでできているため、有害なものが出ることがなく安全な材質です」
常備菜を保存するのにもぴったりと言えそう。使用するときに注意すべきことはあるのだろうか?
「衝撃や落下などで表面のガラス質が欠けたり、破損することがあります。釉薬がかかりにくい鉄の切断部分はサビる可能性がある箇所があるので、使用後は洗って水分をしっかりと拭きとり乾燥させてください」
では、どんなものが使いやすいのだろうか。人気の商品とその使い道について聞いてみた。
「ここ数年は四角い容器が人気です。冷蔵庫内で重ねられるので収まりがよく、ふたをして重ねられることと、ふたの種類が3種から選べて用途や食材により使い分けられるので、好評を頂いています。正方形のものは、同じサイズどうしで重ねることが可能なので、料理中にボウル代わりに使うと場所を取りません」
具体的にはどんな使い方がよいのだろうか。
「レクタングル深型(長方形の深型)は、S・M・Lサイズが入れ子式にしまえるので収納しやすく、特にSサイズは一般的な200gのバター入れなどに便利です。一方、長方形の浅型はグラタンの具を入れて冷凍し、そのままオーブンで焼くという使い方も。また、容器に水とゼラチンを入れて直火にかけて溶かし、フルーツなどを入れれば、器ひとつでゼリーもつくれます。冷蔵庫で冷やし、器ごとテーブルに出してサーブすると、ちょっとしたおもてなしにも向いていますよ」
冷凍OK、オーブンで250度まで加熱してもOKなので、さまざまな料理に幅広く使え、ゲストを招く機会の多いこれからの季節にも活躍しそう。ホーローを使ったことがないという方も、ぜひ使ってみてはいかがだろうか。