現在開催中のソチ五輪。テレビでは連日大量の報道が行なわれている。5度目のオリンピックに臨んだ女子モーグルの上村愛子は4位入賞という成績だったが、翌日からは繰り返し上村が涙するシーンが放送された。夫でスキーヤーの皆川賢太郎も各局に引っ張りだこ。
最高のパフォーマンスを見せ、「充実の涙」を流した上村だったが、あくまでテレビは〈メダルまであと一歩届かず〉というテロップとともに映し出すという“演出”で、視聴者の涙を誘おうとし続けた。
『ミヤネ屋』(日本テレビ系・2月10日)では上村をフォローしたつもりなのか、こんなコメントがあった。
「なんで(上村の滑りが)ダメだったんですか。最後に滑った人も足が開いていたのに」
コメントをしたのは、大衆演劇座長の梅沢富美男氏だった。もちろんモーグルどころか、スポーツにも縁はない。梅沢氏が悪いわけではないのだが、なぜ私たちは門外漢の解説を拝聴しなければならないのか。コラムニストの小田嶋隆氏がいう。
「だいたいNHKのソチ五輪報道のキャッチコピーの『全力応援』って何ですか。私たちは、テレビ局の応援なんて見たくない。ただ黙って、世界の一流選手が活躍する競技の映像を流してくれれば、それでいいのに」
※週刊ポスト2014年2月28日号