オールアバウトとSBIモーゲージが共同で、「住宅ローンに関する調査」を発表した。その結果、住宅ローンの借入先を自分で選んだ人と勧められるままの人で、その後のマネー管理に違いがあることが明らかになった。そもそもそれぞれのメリット・デメリットも含めて、どういった違いがあるか見ていこう。
調査は1都3県在住で3年以内にローンを組んで住宅を購入した30代~50代の男性636名が対象で、最大の特徴は対象者を、「自分で探した金融機関で借りた人」(297名)と「不動産業者などから紹介された金融機関で借りた人」(339名)に分け、両者の傾向を浮き彫りにしたことだ。
まず、自分が借りている住宅ローンの金利や毎月の支払額を知っているか聞いたところ、「自分で探した」人は「業者からの紹介」の人より、金利を「小数点以下まで把握している」や毎月の支払額を「1円単位まで知っている」の割合が明らかに多い(図表1・2参照)。
また、「自分で探した」人のほうが、経済ニュースをこまめにチェックしていたり、市場金利の変動を気にしていたり、投資などを行っていたりする割合が、「業者からの紹介」の人より多いことから、調査結果では「金融リテラシー(必要な金融の知識や情報を取得し、金融を主体的に判断できる能力)が高い」と分析している。
また、「自分で探した」人は、現在の住宅ローンを含めた住まい周りのお金についての満足度も高く(「大変満足」11.4%「満足」44.8%、計56.2%)、「業者からの紹介」の人の満足度(「大変満足」7.4%「満足」39.8%、計47.2%)より1割近く開きがあった。
さらに、2014年4月の消費税増税時に、「借り換えを行った」15.5%、「借り換えを検討中」20.2%、「検討したが見送った」20.2%と、積極的に家計における固定費の見直しをしているのに対し、「業者からの紹介」の人は、「特に何も考えていない」が59.0%と多いことが分かった。
住宅ローンの借入先を「自分で探した」人は、金融リテラシーが高く、借りているローンについて詳しく把握し、積極的に見直しを行うなどのマネーコントロールを行っている傾向があることが分かった。では、自分で探す場合と不動産業者などから紹介される場合とでは、住宅ローンにどういった違いがあるのだろう?
そのヒントが、調査結果の「ローンの借入先を決めた理由」にある。
どちらも「金利が低かった」を最大の理由に挙げているが、自分で探した人はさらに「繰り上げ返済の自由度」や「トータルの返済額」なども比較したことが分かる。かたや、紹介された人は「ローン審査が早い」ことも理由に挙げている。どういうことだろう?
不動産業者などが紹介する住宅ローンの多くは、販売する不動産会社が金融機関と提携している、いわゆる「提携ローン」だ。金融機関があらかじめその住宅の担保価値を審査しているため、物件を購入する際には、ローンの審査機関が短いという特徴がある。さらに、提携ローンの場合は不動産会社が手続きの一部を代行してくれるため、自分で金融機関を探した場合よりも簡便というメリットもある。
また、提携ローンの中には、金利の優遇が受けられて、通常で申し込むより低金利なものが利用できるといったメリットがあることも。一方、提携ローンのデメリットとして、ローンの種類が限定されていることが多いので、例えば「10年固定金利が選びたいのに、提携ローンにはない」といったことも考えられる。
販売する不動産会社は、まず提携ローンを紹介するのが基本。ローン審査が早いなどいろいろと融通が利くからだ。だからといって、借入先を自分で探してはダメということではない。
自分で探す場合は、給与振込口座など自分自身が取引のある金融機関や勤務先が提携している金融機関などが候補になるだろう。金融機関にとっては、借りる人の返済能力が把握しやすいメリットがあるので、金利優遇などについても具体的に相談するとよいだろう。
今はほとんどの金融機関が、取り扱っている住宅ローンをホームページ上で紹介している。ローンの種類や金利、事務手数料や繰り上げ返済のしやすさなどについて、ホームページの情報を比較検討したうえで、自分が借りたいローンを提供する金融機関に直接相談するということもできる。
自分で借入先を探すメリットは、選択肢が多い中から、自分に合うものやより低金利なものを選べることにある。ただし、手続きやローン審査などで提携ローンより時間がかかるので、早めに行動を移すことがポイント。自分で住宅ローンを探したいと、不動産会社に相談しておくのもよいだろう。
以上のように、それぞれにメリット・デメリットがあるので、それを把握したうえで自分なりに選ぶとよいだろう。勧められるままにローンを組んだので、どういったローンなのかよく分かっていないといったことだけは、避けたいものだ。