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米カリフォルニアで慰安婦像レプリカ設置の動きが最終局面に

 日韓関係が悪化の一途をたどる中、米ロサンゼルス郊外に位置する人口約13万5000人のカリフォルニア州(以下、加州)フラトン市で日韓の代理戦争が過熱している。

 全米各地に慰安婦像を建ててきた韓国系反日団体「加州韓国系米国人フォーラム(KAFC)」が進める市立博物館内の「平和モニュメント」設置の動きが最終局面を迎えているのだ。

「平和モニュメント」という名称だが、市議会に提出された計画書によると、それは在ソウル日本大使館前に建てられた慰安婦像のレプリカである。碑のプレートには「20万人の女性を強制連行し、性奴隷にした」との文字が刻まれる予定になっている。

 すでに市議会では8月19日に設置を認める決定がなされており、残るは市立博物館の理事会で設置の是非が最終決定される。理事会は有識者ら21人からなる博物館の最高意思決定機関で、設置案が可決されればKAFC側はすぐに設置に動く構えを見せている。

 KAFCがフラトン市を慰安婦像運動の“標的”にしたのには理由がある。同市はもともと畜産やオレンジ栽培を主要産業とするが、1990年代後半から移民法改正に伴って永住権を獲得した韓国人が親類縁者を呼び寄せ、現在は人口の11.5%にあたる約1万5500人が韓国系となっている。

 同市最大の教育機関である加州立大フラトン校は全学生の22%がアジア系(米国籍、留学生を含む)、そのうち半分は韓国系(同)といわれている。繁華街にはハングルの看板が立ち並ぶコリアンタウンが形成されている。6人の市議(この中から輪番制で市長が選ばれる)にとって韓国系市民の票は生命線だ。博物館理事会にも韓国系の理事が2人いる。

 一方の日系(米国生まれ、日本出身者を含む)は1260人(2010年米国勢調査)のマイノリティだ。福井市と25年にわたる姉妹都市関係を結んでいるものの、在住者の多くはビジネス目的で慰安婦問題への関心は薄い。しかも加州選出で日系のマイク・ホンダ下院議員が慰安婦像設置運動の旗振り役であるため、日系住民にもKAFC支持派は少なくない。昨年7月、市議会の賛成のもとで慰安婦像が設置された加州グレンデール市(※注)と構図は同じだ。

【※注】2013年7月にカリフォルニア州グレンデールの市立公園に慰安婦像が設置された。韓国系米国人団体(KAFC)が働きかけ、市議会が決定したもの。碑文には「日本軍によって強制連行され、性奴隷にされた」などの文言が刻まれている。

文/高濱賛(在米ジャーナリスト)

※週刊ポスト2014年10月31日号

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