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プロレス×映画

プロレス界のポンコツギミックの代表格を題材にした魅惑の珍作『アタック・ザ・マミー』

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 『フランケンシュタイン対地底怪獣』の回でも触れたようにプロレス界と怪奇モンスターの親和性は高く、恐らくギミック化されていないモノはないほど。ミイラ男「マミー」もそのひとつ。
 そこで今回は、その筋では魅惑の珍作として一目置かれる『アタック・ザ・マミー』(2000)を引き合いに、プロレス界の「マミー」をご紹介します。

 本作は、エジプトのとある強欲族長が、曰くつきの地下墓地を全園コンピュータ制御の巨大テーマパーク(カート移動型)に大改造。宣材写真撮影のために招かれたアメリカのカメラマンたちが、太古のファラオの呪いで蘇ったマミーに立ち向かう!みたいなお話。端的にいえば、呪いの屋敷系脱出モノですね。

 監督は知る人ぞ知る超低品質洋上感染ホラー『深海からの物体X』のアル・パッセリとあって、とにかく古臭い。見るからにチープなセット、精巧感ゼロのミニチュア、あまり嬉しくない強引なエロ展開、余韻も何もない雑な編集などなど、これで2000年度制作とはある意味斬新な出来!

 そして本作の最大の魅力(頼みの綱)が、声優陣のフリーダムな吹替。ほぼ全篇その場のノリで録ったであろうテキトーな台詞回しや無駄な描写説明など、もはや大喜利状態。特にモブのヤラレ台詞とマミーの"出川哲郎"的な台詞は必聴モノでしょう。
 正直この吹替がないと全篇観るのが無理なレベルの珍作なので、こうなったのも仕方ないけども......(※)
 
 プロレス界の「マミー」というと、1961年にテキサス地区に登場した「ザ・マミー」が起源とされます。全身包帯姿、攻撃されると包帯に仕込んだ白い粉が舞い上がるというインパクトが受け、当時の絶対的王者"鉄人"ルー・テーズの持つNWA世界ヘビー級王座に挑戦したことも。しかし、中の人は実力者とは言えず、日本プロレス参戦時には連戦連敗だったそうな。

 さらに全身包帯姿で誰でも演じられることから各地で偽物が誕生しますが、日本では90年代、名ヒール・鶴見五郎が関連したIWAやユニオンプロレス界隈で復活。ブラック、レッド、ブルーの別カラー版に加え、メカ・マミー、空手マミーといった変わり種も生まれています。

 ただ、マスクやゴワゴワの衣装に慣れない選手が担当し(日本では毎回中の人が違うケースも)、結果として本作『アタック・ザ・マミー』同様、"概ねポンコツ"の評価に落ち着いているのがこのギミックの傾向(WCWの「イエティ」は中でも別格)かもしれません。

 余談ですが、メキシコのルチャ映画では、古くは『Las luchadoras contra la momia(ルチャドーラ対マミー)』に始まり、2007年にはかのミル・マスカラス主演の『Mil Mascaras vs. the Aztec Mummy』(参考URL=https://www.youtube.com/watch?v=YoCT1ro7pQE)というトンデモ作品も存在。なるほど、プロレスとマミーの関係は深いんですねぇ。

(文/シングウヤスアキ)

※ 市場に出回っている本作の日本語版DVDには、日本語吹替が含まれないバージョンが存在するため、入手の際にはご注意下さい。アルバトロス(販売:パンド)版が吹替入り。尚、2003年以来、新作が途絶えているパッセリ監督ですが、マッシリアノ・セルチ名義で新作準備中の模様です!

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シングウヤスアキ

会長本人が試合までしちゃうという、本気でバカをやるWWEに魅せられて早十数年。現在「J SPORTS WWE NAVI」ブログ記事を担当中。映画はB級が好物。心の名作はチャック・ノリスの『デルタ・フォース』!

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