住まいの雑学
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嘉屋 恭子
2013年3月8日 (金)

結局、どこで吸えばいいの? マンションの喫煙スペースを考えてみた

写真: iStockphoto / thinkstock
写真: iStockphoto / thinkstock

バルコニーでタバコを吸い続けた隣人相手に訴訟を起こし、裁判所も健康被害を認めて賠償金の支払いを命じた……。少し前に流れたこのニュース、気になった人も多いのではないだろうか。タバコを吸わない人も吸う人も覚えておきたい、マンションとタバコの問題について調べてみた。

■意外と多い? マンションの喫煙トラブル

まず、今回の裁判のあらましを振り返っておこう。訴えたのは、名古屋のマンションに住む女性。室内にいたところ、タバコの煙が入ってくるのを感じ、階下のバルコニーの男性のタバコを火元として特定、口頭や手紙で、自室で吸うように求めたという。

しかし、男性は応じずにバルコニーで喫煙を続けたため、女性はタバコの煙で体調が悪化したとして提訴。裁判所も女性の健康被害を認め、賠償金として5万円の支払いを命じたという。

そもそも、マンションのバルコニーでの喫煙は管理規約などで禁じられていないことが多く、いわば「グレー」な状態。罰せられることはないものの、他人に迷惑をかけない範囲で行いましょう、というのが現状だ。

では、このケースのようにトラブルになることはないのだろうか?ある管理会社に話を聴くと「ニオイのクレームとしてもっとも多いのはペット、2番目に生ゴミ、3番目にタバコです。ただ、今回のように裁判になること、さらに健康被害があったと判定が下るのはかなりレアなケースです」とのこと。

というのも、こうした隣人同士でトラブルになった場合、実際は判決に至る前に調停などで和解することが多いし、何より健康被害を立証するには、相当の証拠と根気が必要。それ故に、タバコのニオイをあげて、「即、裁判!」となる事例は少ないというのだ。

■基本的には、当事者同士で解決策を探る

では、近隣のタバコで悩んでいたら、どうしたらよいのだろうか。現実的な解決策には、大きく2つの方法があるという。まず、タバコを吸っている人が分かっている場合。住人同士で話し合い、室内で吸ってもらう、喫煙時間をずらしてもらうなどの妥協案を探ってみよう。特に朝や昼のタバコは「洗濯物にニオイがつく!」という声が多いので、バルコニーで喫煙するなら夕方以降などとお願いするのがいいかもしれない。

一方で、タバコを吸っている人が分からない場合は、マンションの管理会社に相談してみよう。ただし、マンションの管理会社では、喫煙している人を見つけ出して、直接注意するということは行っておらず、掲示板に張り紙をするのが一般的な対応だという。さらに強く呼びかけたいなら、管理規約でバルコニーでの喫煙禁止とするのもひとつの方法だ。規約改正には管理組合の総会での3/4以上の同意が必要だが、これによりはっきりと喫煙禁止と訴えることができる。いずれにしても普段からの住人同士の交流やコミュニケーションが問題解決のカギになりそうだ。

■室内で喫煙するなら壁紙、空気清浄機、エコ・プラントで対策を

反対に、隣人からタバコのニオイが気になると言われたなら、どのような対策があるのだろうか。よくあるのがキッチンの換気扇下での喫煙だが、意外にもこれがクレームになることもあるのだとか。というのも、タバコの煙がダクトを通って排気されるため、かえって近隣の迷惑となってしまうのだ。

となると、現実的な方法としては、室内に喫煙スペースをつくるのが最後の手になるのかもしれない。風通しのよい部屋にニオイの吸着機能のある壁紙を貼る、もしくは壁材にすると、ニオイ対策だけでなく変色も防げる。また、専用に空気清浄機・脱臭機を設置すると、気になるニオイをやわらげてくれるはず。最近では、光触媒加工してあるエコ・プラントなどもあるので消臭対策兼インテリアとして置くのも有効だろう。

ひと口にタバコのニオイといっても、気にならない人、苦手な人とさまざま。お互いに配慮しつつ、気持ちよく暮らせるよう、良い方法を見つけ出したい。

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