昨年末話題になった、ライトノベル『ロジック・ロック・フェスティバル 探偵殺しのパラドックス』(中村あき著)を巡る盗作騒動。最近では事態が沈静化していたが3月11日に突然騒動が再燃している。

ロジック・ロック・フェスティバル 探偵殺しのパラドックス

 この騒動は、昨年11月に『ロジック・ロック・フェスティバル 探偵殺しのパラドックス』が出版されたことに始まる。この本は星海社が主催する『星海社FICTIONS新人賞』を受賞しており、また挿絵イラストを人気漫画集団CLAMPが手がけたこともあって発売前から大きな注目を集めていた。

 ところが、出版されてすぐに本書が講談社主催の『第35回メフィスト賞』を受賞した『天帝のはしたなき果実』(古野まほろ著)に酷似する内容が多いという指摘がネット上では飛び交うように。アマゾンのレビュー欄や読者メーター、さらには2chでも話題になりちょっとした騒ぎになっていた。

 そんな中、盗作された側とされる、古野まほろさんが周囲に勧められる形で、問題となった本を読み、Twitter上にその感想を投稿。読者と同じ印象であるという考えを示した。

 そしてそれとほぼ同時期、『ロジック・ロック・フェスティバル 探偵殺しのパラドックス』の出版社である星海社が同社公式サイトに今回の盗作騒動を全面否定する内容を投稿。

 星海社の見解をうけ、古野まほろさんは12月初めに星海社とつながりのある人物を介し星海社の社長と接触したこと、そしてその後、星海社からの連絡が途絶えたことをTwitterを通じ12月6日に報告している。

 なお、一連の書き込みについて古野さんは当初から、使用するアカウントが本来広報用のものであることから、一定の周知期間をおいた後、全て削除することを告知していた。そしてそれに従う形で、12月末頃一連の書き込みが削除され、騒動は自然と沈静化。以来大きな動きは報告されておらず、このまま騒動は自然消滅するかにも見えていた。

 ところが今年3月11日、星海社が『編集者座談会』という特設ページをWeb上に公開。その中で今回の騒動について言及し、突然騒動が再燃しはじめたのだ。

編集者座談会

 書かれた内容によると、盗作疑惑は「まったくの事実無根であり、現在に至るまで、星海社には著作権保有者からの異議申し立ては一切いただいておりません」と主張。さらには「弊社の社長がとある著作権保有者ならびにその代理人と「面談」をしたとの情報が一部にあったと伺っておりますが、これらについてもまったくの事実無根の捏造」と説明している。

編集者座談会

 つまり、誰からも『ロジック・ロック・フェスティバル 探偵殺しのパラドックス』の盗作について異議申し立てがなかったと明確に示しており、星海社に接触したと主張する古野さんの言い分と真っ向から対立することになる。

 なお、「とある著作権保有者ならびにその代理人と「面談」した事実はない」という件については、古野さんは3月11日に投稿したTwitter上で、「誤字」であるとして「対談」と訂正。ただし、人を介し交渉はあったということを再度主張している。

古野まほろさんTwitter
古野まほろさんTwitter

 その他に『編集者座談会』には「たとえネット上の発言を抹消、撤回したからといって、言論人として許されないことはあるだろうと個人的には思っています」と、古野さんが今回の一連のTwitter投稿を削除した行為を指摘するとも取れる内容も書かれている。

 ただこれは先にも書いたとおり、元々古野さんは期間を置いての削除を事前告知しており発言を撤回するものではないと考えられる。それを示すよう、古野さんは3月11日、削除することをルール化していたことを改めて説明。そして「必要とあらば何度でも再掲します」と改めてTwitterで明言している。

古野まほろさんTwitter
古野まほろさんTwitter

 今回の一連の騒動は一時は自然消滅するような雰囲気さえ見せていたが、ここに来ての星海社による突然の炎上材料投下には、ネットで「炎上商法か?」「わざとやってるだろ」という疑念の声が上げられている。

 なお、今回の『編集者座談会』公開をうけ、古野さん側は今後、著作権者として出版権者及び、弁護士とともに直接適切な対応を求めていくとしている。

▼過去記事
ライトノベル新人賞作に盗作疑惑―否定する出版社VS盗作されたとされる作家で問題は長期化の兆し
ライトノベル新人賞受賞作の盗作騒動―作家からの申し出に出版社“ゼロ回答”で交渉決裂

<参考・引用>
古野まほろ広報室Twitter(@Mahoro_Furuno)星海社『編集者座談会』
有志による2冊の比較検証Wiki(LLF問題調査委員会作成)
togetterまとめ(古野さんが削除したツイートの一部が読めます)