デーブ楽天に「ゆづくん」魂注入だ!

 楽天大久保博元監督(47)が、フィギュアスケート羽生結弦(19=ANA)の闘争心をチームに求める。地元宮城の英雄の滑りが指揮官の心を揺り動かしていた。「新聞で見たよ。すごかったらしいね。あんな悲愴(ひそう)感漂う表情だったのに、さすがだね。見習わないといけないよ」と9日、一気にまくし立てた。

 前日8日のフィギュアスケートのGPシリーズ第3戦で、流血しながらも必死のスケーティングで2位となった羽生の滑りが、大久保監督の求める姿だった。「闘争心だよな。勝負できる男は生き残れる。昔、ジャンボ尾崎さんに教わったことがある。無人島に1つだけ持って行くなら闘争心だと」。勝負がかかっているならば、痛いとかかゆいは言っていられない。ましてや厳しいプロ野球の世界で生き残るには、戦う覚悟が何よりも大切だと力説した。

 自身の経験もある。94年10月8日の巨人-中日の優勝決定戦だ。国民的行事と呼ばれた試合で落合氏や立浪氏が故障するほど必死にプレーをする。その光景を間近で見て、ケガを抱えながらも勝利を目指す執念が時には必要と感じた。「自分も前十字靱帯(じんたい)がないし、みんなどこかに痛みを抱えている。コンディションを整えて、やる時はやる」と戦うスイッチの重要性を語った。

 この日の秋季キャンプはあいにくの強い雨。しかし選手とともにグラウンドを走った。困難に負けず、羽生のように凜(りん)と戦う姿勢を示しているようだった。【島根純】<強行出場した主な選手>

 ◆阪神金本

 04年7月29日の中日戦で死球を左手首に受け骨折。フルイニング出場記録が途切れる可能性があったが、翌30日の巨人戦に強行出場。右手だけで2安打を放った。

 ◆日本ハム・ダルビッシュ

 09年巨人との日本シリーズ第2戦に先発。シーズン中の投球術と違いスローカーブを多投し、6回7奪三振2失点で勝利した。シリーズ終了後の精密検査で右手人さし指の疲労骨折が判明した。

 ◆日本ハム中田

 12年巨人との日本シリーズ第2戦で左手甲に死球を受けて途中交代。打撲と診断され、翌日以降も出場したが、その後の精密検査で左手第5中指の骨折と判明。

 ◆楽天藤田

 13年の巨人との日本シリーズ第5戦で左ふくらはぎに死球を受け、途中交代。激痛で満足に動ける状態ではなかったが、第6戦にも強行出場した。結果は4打数無安打だったが、チームに闘志を与えた。