外交官と言えば、自国だけでなく諸外国での生活経験も豊富。さまざまな住文化に触れた人が日本では、どのようなインテリアや暮らしをしているのだろう。日本に在住する外交官のお宅を訪ねてみる事にした。
取材させていただいたのは、フランス大使館で経済関係をご担当のPascal Furth(パスカル・フュルス)さん。
日本でのお住まいは東京都品川区のマンション、外国人用では無いが3LDKで177m2とナカナカ普通では無い物件(お一人住まいというので、尚更ビックリ!)
「ここに決めるまでに、30物件以上見学しましたよ」と、自分の足で住まい探しをしたと教えてくれたPascalさん。大使館が用意してくれるものだと思っていた私が驚くと…
「私にとって家は本当にリラックスできる場であることが、生活そして人生にとって大変重要。住まい探しは人任せにしませんし、妥協もしません」
住まい選びの際、建物は近代的でも伝統的(古民家など)でも良かったらしく
こだわった条件は天井が高い事、リビングが広い事、そしてキッチンは、仕事関係者との食事会を自宅でする事もあり、オープン型でなく独立型を希望。
一番難しかったのは「欧米では当たり前の、ベッドルームにバストイレが付いている物件が少ない。知人を泊める事も多いので、2バスルームは必要なのです」
確かにトイレ2つ物件は多いが、バス2つは二世帯住宅くらいなのが日本の住宅事情。このお宅はメインのバスルームと、15畳のベッドルームにバス・トイレが付いていて合格。
Pascalさんのインテリア・デコレーションのセンスの良さに、何か参考にしている雑誌でもあるのか尋ねたら
「特に無いですが、家具屋やギャラリーを見て回るのが好きですね」と、旅先や赴任地で見つけた小物の国籍を次々と教えてくれた。
それぞれ国や時代が違う物を巧くコーディネートする術は、「いくつか色を決める事」。
Pascalさんのインテリアテクニッックを教えてもらった。
メインベッドルームの窓には日本の簾(すだれ)、その前に並ぶのは東南アジアの仏像アート。衣装箱は黒塗りのアンティーク、こちらも多国籍なインテリア。
「この衣装箱、これも日本の粗大ゴミ。すごいでしょ(笑)」立派な塗りの箱、内側には古い漢文と刻印が…本当に侮れない、日本のゴミ!
Pascalさんが特に好きなのは「日常的な道具。美しい形のものが多いのです」と、焼き物の棚を紹介してくれた。
お宅を拝見して思ったのは、フランスは移民を受け入れた多民族国家なので、他文化を受け入れる感性が日本人より豊かなのかも知れないと。そして、他文化を愉しむのは、自国の文化を理解しているからこそできる事。
Pascalさんの育ったフランスの実家は「コテコテのクラッシック家具(笑)お城にありそうなロココ調の猫足とか装飾系」フランス伝統のインテリアで育ったから、他文化への興味関心も高まった。
私たち日本人はもう少し和の伝統様式を見直さなければと反省…まずは、粗大ゴミチェックかな?!