見逃したら東京ではあと300年は見られない！金環日食が見られる家の条件とは
世紀の天文ショー・金環日食が5月21日に迫った。わざわざ日食を見るために出かけるつもりはないが、自宅から見られるものなら是非見てみたい。そんなあなたのために自宅で金環日食を楽しむためのチェックポイントをまとめてみた。見逃したら東京ではあと300年先でないと見られない金環日食。あなたの自宅から果たして見られるのか。
■「金環日食」って？
太陽が完全に月に隠れてしまうのが「皆既日食」。それに対して金環日食では見かけ上、太陽のほうが大きいため、月の周囲に金色に輝く環（わ）が現れる。（図1）そのため金環日食と呼ばれる。以前は金環食と呼ばれることもあった。皆既日食では太陽が全部隠れるので夕方のように暗くなるが、金環日食ではそれほど暗くなることはないと言われている。
画像提供：千葉清隆氏、撮影地：沖縄
■いつどこで見られる？
5月21日の午前7時台に、図２の帯の部分で金環日食が見られる。九州南部から四国、近畿、東海の南部、そして関東のほぼ全域、東北では福島県の一部を含む広大なエリアで金環日食を見ることができる。このエリアには約8000万人の人が住んでいるというから、日本人の6割以上が金環日食を見ることができる計算だ。また金環日食が見られないエリアでも、かなり深い部分日食が見られる。
出典：国立天文台ホームページ
■どの方角に見える？高さは？
この世紀の天体ショーは、ほぼ真東の空で起こる。
高さは水平線から鹿児島で約25度。東京あたりでは水平線から約35度のあたりに見える。といってもピンとくる人は少ないだろう。そこで片手を前に水平に伸ばしてみよう。このとき握り拳ひとつ分の大きさが見かけ上の高度で約１０度。だから握り拳を2つから3つ重ねたあたりで金環日食が起こると思えばよい。正確な方位や高さ、金環日食の始まる時間などは国立天文台のサイト「2012年5月21日 金環日食」にアクセスしてみよう。自分の住んでいるエリアを入力するだけで詳しいデータが手に入る。
■自宅のビューポイントはどう探す？
まずは「真東」がどっちにあたるかを確認することからはじめよう。方位磁石があれば簡単に分かる。ない場合は携帯電話やスマートフォンに方位表示機能がついていることもあるので確認してみよう。また間取図に方位が記入されていることも少なくないので、それも参考になる。
真東の方向が分かれば、その方向に開口部があるかどうかをチェック。窓やバルコニー、天窓などが真東を向いていれば自宅から金環日食が見られる可能性大。とくにマンションなどで真東の方向が見渡せるルーフバルコニーがあれば絶好のビューポイントだ。マンションの屋上も日食の観測にはいい場所だが、屋上に登れるかどうか事前に確認しておいたほうがいいだろう。
■真東に開けた場所があるか？
自宅で真東を向いたビューポイントが見つかったら、その方向に視界を遮るような建物などがないかどうかをチェックしておこう。一番簡単な方法は、金環日食が見られる午前7時台に太陽が見れるかどうか直前に確認しておくことだ。金環日食が見られる高さは、前にも説明したように東京では前に片手を伸ばしたときの拳3つ分あたりだから、真東をむいて午前7時半ごろ、そのあたりに太陽が見えれば、まず大丈夫だ。
■スマホのアプリなら、もっと簡単に分かるってほんと？
あまり一般的とはいえないが、Sun ScoutやSun Seekerといったスマートフォン用のアプリをつかうと、自宅で見つけた金環日食のビューポイントにスマホのレンズを向けるだけで、日食が起こる時刻に太陽が建物などに遮られないかどうか分かる。このアプリはそもそも写真家や不動産会社の営業担当者が太陽の位置や日当たりを確認するためにつかっているという優れもの。金環日食の観測を機会に試してみるのもおもしろいかもしれない。
■どうやって日食を見たらいい？
日食の当日はもちろん事前にチェックする際も、太陽を直接見るのは厳禁だ。太陽光には人間の目に有害な光線が含まれているので間違った方法で観測すると失明する恐れがある。日食を観測する場合は市販されている「日食グラス」を購入するなど、国立天文台をはじめとした各種の観測ガイドを参考に、正しい方法でくれぐれも安全に配慮して観測してほしい。とくにお子さんと観測するときは、直接太陽を観測するのはなく、投影板に太陽を映し出すなどの方法で見せてあげれば安心だ。
